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“議席泥棒”、今年は選挙制度改編で捕まえられるか=韓国

登録:2018-01-06 00:06 修正:2018-01-06 07:50
国会立法調査処「イシューと論争」 
「政党体制における韓国の理念的スペクトルは狭小 
進歩政党の存立基盤を強化する必要がある」
イ・ジョンミ正義党代表=資料写真//ハンギョレ新聞社

 「特に、獲得した支持に比べて多くの議席を持っていった議席泥棒、54%の支持で90%の議席を持っていった票泥棒まで、選挙法の改正で完全に捕まえる“飽腹絶盗”の世の中を作る」

 正義党のノ・フェチャン院内代表は1日午前、国会で開かれた正義党新年挨拶会で「よく使う抱腹ではなく、飽腹で腹を満たして、絶盗は泥棒を根絶するという意味」としてこのように強調した。ノ・フェチャン院内代表の話のように“議席泥棒”を防止するには、選挙法の改正はどのような方式でしなければならないのだろうか。

 2018年に入り、改憲と選挙法改正に対する国民的関心が高まっているなかで、国会立法調査処が「進歩政党の活性化を阻む制度を改善し、進歩政党の存立基盤を強化する必要がある」という内容を盛り込んだ報告書を出し、目を引いている。

 国会立法調査処の立法調査官キム・ジョンガプ博士は、3日に出した「イシューと論点」報告書『19代大統領選挙と進歩政党の未来に影響を及ぼす主な要因』で「政党体制における韓国の理念的スペクトルは狭く、そのために多元化された社会に符合する多様な価値と利益が代表され難い」と明らかにした。

■比例代表議席の増加、選挙区制の改編

 彼は報告書で「全議席に比例議席が占める比重(16%)が小さく、群小政党が比例議席を確保しにくい構造」として「現行の比例議席の比率を高め、封鎖条項(現行3%)を現実的な水準に下方調整し、正義党のような群小政党の議席確保の可能性を高める必要がある」と強調した。

 進歩政党と群小政党の議席確保の可能性を高めるものとして注目される方案には、比例議席の比率上方修正の他にも「小選挙区制の改編」がある。狭い選挙区で1位を占めた候補だけが当選するために、巨大政党に有利な現行の勝者一人占め選挙区制度を改正し、選挙区の範囲を広げて2~3人の候補が当選する中・大選挙区制に変えようということだ。特に、小選挙区制の場合、30~40%の有権者の支持で100%の有権者を代表するという矛盾が発生したりもする。キム博士は「中・大選挙区制が群小政党の議席数を高め、死票を減らす可能性も大きい」として「短所としては低い投票率で当選することもできるというが、それは大きな問題ではないようで、ただし選挙が広域化されれば費用が増える問題はありうる」と話した。

イ・ジョンミ正義党代表とノ・フェチャン院内代表、チュ・へソン首席代弁人などの指導部が、戌年の新年初日である1日午前、汝矣島の国会で開かれた新年挨拶会で金の犬の貯金箱を掲げ「正義党を育てて下さい」と叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 先月、正義党のシム・サンジョン議員が発議した「連動型比例代表制」も注目されている。連動型比例代表制は、今と同じく地方区議員と比例代表議員の投票を共に行うものの、比例代表を選ぶ政党得票率を基準として政党が持っていける議席数を配分し、政党別に配分された議席数から地方区議員の議席数を引いた数は比例代表議員で満たす制度だ。例えば、300人の国会議員のうち、200人を地方区議員で選び、100人は連動型比例代表で選ぶが、ある政党が比例代表政党得票率は30%を記録し、地方区議員は10人の当選に終わった場合、30%を満たすことができる残りの20人を比例代表議員に座らせる制度だ。反対に、政党得票率は20%を記録したが、地方区議員はすでに40人を当選させ、すでに政党得票率を超過した場合、この政党は比例代表の配分を受けることができない。この制度は、得票率どおりに議席が配分されるので、死票を最小化できるという長所がある。

■交渉団体中心の配分比率調整

 報告書は、昨年の19代大統領選挙で進歩政党である正義党の躍進は注目に値すると評価した。正義党が19代大統領選挙で得た6.17%の得票率は、歴代大統領選挙で進歩政党が得た得票率としては最も高い数値であった。

昌原に出馬することにしたノ・フェチャン正義党共同選対委員長が4日午前、国会でシム・サンジョン代表からベルトを贈られ、挨拶をしている。シム代表は、嶺南)ベルトを掌握せよという意味でベルトをプレゼントした=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 だが、正義党は躍進した得票率にもかかわらず、劣悪な財政状況に苦しんでいる。政党の政治活動と組織運営にかかる政治資金は、党費、預託金、国庫補助金に分かれるが、正義党は補助金の比率が24.5%で、共に民主党(37.3%)や自由韓国党(34.9%)に比べ低い。

 キム博士は、正義党の補助金が少ない原因として「交渉団体中心の配分」を挙げた。彼はこのような配分方式が「群小政党の財政的基盤を脆弱にさせる結果を招く」として「交渉団体に配分される補助金の比重を低くしたり、得票率にともなう配分比率を上方修正する必要がある」と分析した。

 現行の政治資金法によれば、国庫補助金は交渉団体を構成した政党に総額の50%がまず均等配分され、5議席以上20議席未満の議席を持っている政党に総額の5%ずつ、5議席未満の政党には2%ずつが配分される。20代国会を基準として、共に民主党、自由韓国党、国民の党が総額の50%を均等配分され、正しい政党と正義党が総額の5%ずつの配分を受けるわけだ。残りの補助金の半分は、国会で議席を持っている政党に議席数割合で、また残りの半分は最近実施された国会議員選挙の得票率に応じて配分される。

2015年政党別収入内訳//ハンギョレ新聞社

■政党の設立要件調整、正義党も外縁拡大の努力が必要

 報告書は、進歩政党が批判的勢力として基盤を確保するには、政党の設立要件を緩和し、登録条件を下方調整する必要もあると指摘した。現行の政党法は、首都に置く中央党をはじめ、5個の市・道に支部を置かなければならず、なおかつ市・道ごとに1000人以上の党員を保有しなければならない。こうした設立要件は、群小政党にとっては充足が容易でない。これを緩和して、地域単位にでも多様な理念と路線を標ぼうする“地域政党”の創党を容易にしなければならないという指摘が出ている理由だ。

 また正義党に対しては「党費を納める真性党員を中心に運営されているので、政党の凝集力は高いが、反対にそれが外縁の拡張には障害として作用しうる」として「党内意志決定と公職候補決定に一般有権者の参加を誘導し、外部人材の招聘にも取り組み一般有権者を支持層に抱き込む努力が要求される」と助言した。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/826480.html韓国語原文入力:2018-01-05 16:26
訳J.S

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