先月29日、北朝鮮が新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星-15」型を撃った後、「国家核兵力の完成」を宣言したなか、11日に集まった専門家らは北朝鮮核・ミサイル危機を突破する唯一の解決策は「外交」と「対話」・「交渉」にあると口をそろえた。米朝間の緊張の高まりによって、朝鮮半島で軍事的衝突の可能性は高くはないが、無視できるほど希薄なものでもないという意見も出た。専門家たちは、北朝鮮の核問題解決に向けた6カ国協議は依然として有効なシステムだと主張した。
この日午前からソウル瑞草洞(ソチョドン)の国立外交院で「核なき朝鮮半島:文在寅(ムン・ジェイン)政府の戦略と実行策」というテーマで開かれた2017外交安保研究所・国際問題会議に出席したコリン・パウエル元米国務長官は、「北朝鮮が米国を攻撃することは自殺行為」だとし、「もし北朝鮮が米国を攻撃するなら、米国はすぐに(北朝鮮を)攻撃し、北朝鮮政権はなくなるだろう。北朝鮮が自殺行為をしないことを信じる」と述べた。パウエル元長官はジョージ・ブッシュ米国大統領の国務長官(2001~2005年)を務め、それに先立ち父親のジョージ・ブッシュ大統領時代には米国合同参謀本部議長(1989~2003年)を務めた人物だ。
パウエル元長官は北朝鮮核の解決策として「民主主義的方法を通じて外交力と抑制力を活用し続け、平和のために北朝鮮と対話しなければならない」とし、「対話で私たちが失うものはない。北朝鮮と話すからといって誰が損するというのか」と強調した。彼は朝鮮半島での戦争の可能性については、過去の米ソ冷戦時代の経験を言及し、「政治的環境がほとんど崩壊するからこそ武器に依存するのだ。私たちは当時、ソ連を注視しながら、政治的環境が完全に崩壊したかを見ていた」とし、「ひとまず(米国は対北朝鮮問題をめぐる)政治的状況を注視すること」と話した。彼は朝鮮半島での戦争の可能性を「5%程度」と見た。
この日、朝鮮半島における戦争勃発の可能性を「25%」と診断したケビン・ラッド元豪州首相も「外交が唯一の方法」だと強調した。ラッド元首相は核の解決策として、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル凍結から始まり長期的には北朝鮮の残りの核兵器廃棄まで続く、いわゆる「北朝鮮核一括妥結」(グランドバーゲン)方式を提案した。
ラッド元首相は「(我々は)北朝鮮が何を望むのかを見なければならない」とし、「第一は体制の生存を望んでいるのであり、第二は核戦争遂行とは関連がない。(北朝鮮は)韓国と日本に対してレバレッジが生まれること」を望んでいると述べた。彼はさらに「北朝鮮の核心的な戦略目標は、米国が持つ同盟との連帯性を破っていくこと」だとし、「米国が北朝鮮とICBM(大陸間弾道ミサイル)の能力について『ディール』(取引)をするなら、北東アジアの同盟国と米国の関係が分かれるのではないかという懸念がある」とも話した。
ラッド元首相が言及した北朝鮮核問題の一括妥結方式に関連して、トーマス・ピカリング元米国務次官は「核分野は一括妥結しなければならない。信頼構築が決定的だが、短期的に不確実性が大きい」とし、「果たしてこれが可能なのか分からない。(ただ)少なくとも試みてみなければならない」と話した。この日の会議に出席した多数の意見とは違い、ピカリング元次官は韓米連合軍事演習と北朝鮮の核・ミサイル実験中止を意味する双中断方案については否定的な意見を出した。彼は、北朝鮮に対する信頼が底を打った状態で交渉は検証を強化する策に進まなければならないと主張した。
この日、参加者たちは、北朝鮮核対話を続けていくプラットフォームとして依然として6カ国協議が有効だという点にも同意した。
この日の昼食会の挨拶で6カ国協議韓国首席代表であるイ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長は「制裁と圧迫は有用な道具であることは間違いない」と述べながらも、「(現在)北朝鮮の非核化は、制裁・圧迫だけでは実現できない。最後には唯一対話と交渉で行うしかない」と述べた。イ本部長はさらに「私たちは北朝鮮と対話しなければならない」とし、北朝鮮核凍結から完全な非核化につながるようにするのが「対話の原則」と明らかにした。イ本部長は、現在の朝鮮半島の緊張状態を指して「私たちは状況を安定的に管理しようとしている。このような観点から、2月に開かれる平昌(ピョンチャン)五輪が重要なきっかけを提供するだろう」と話した。彼は「北朝鮮が(平昌冬季五輪の)参加を決定し、国連の五輪停戦決議を守るという次元で、これ以上の挑発を自制し、真の対話を行う考えを明らかにするならば、韓国や他の関係国と相互関心事について幅広い議論の機会を開くことになるだろう」と付け加えた。
一方、ロシア科学アカデミー東方学研究所のアレクサンドル・ボロンチョフ韓国モンゴル課長は、先月半ばに北朝鮮を訪問して会った北朝鮮外務省関係者が、平昌五輪について言及した北朝鮮の立場を紹介した。彼は「(北朝鮮外務省関係者は)我々は平昌五輪について何も反対意見はない。平昌五輪に害になるようなことをするつもりはない」と話したとしながらも、「(だが)北朝鮮の立場から、米国が攻勢的だと感じる行為をする時は即時に対応する」と明らかにしたと伝えた。ボロンチョフ課長はまた、北朝鮮外務省関係者が「重要なのは言葉ではなく実質的行動」だとし、「文在寅政府が(現在までは)あまりにも米国の立場を追っていると見える。我々は文在寅政府がもっと独立的になるのを待っている」と話したと付け加えた。