ソウル龍山(ヨンサン)米軍基地に位置する韓米連合司令部が国防部の敷地内にある合同参謀本部の建物に入れば、米軍基地跡地に建設される龍山公園の北と南の間の断絶が相当部分で解消されるものと予想される。現在、龍山米軍基地の敷地は地下鉄6号線の緑莎坪(ノクサピョン)駅と三角地(サムガクチ)駅をつなぐ道路を基準に南北に分けられる。しかし、龍山公園の敷地と周辺には国防部と合同参謀本部、ドラゴンヒルホテル、ヘリポートなど残っている軍関連施設が依然として多く、公園が本来の姿を備えるためにはこれらの施設もすべて移動しなければならないという指摘が出ている。
政府は、龍山米軍基地跡地の返還を受け龍山公園を韓国を代表する公園にする計画だった。このため、国土交通部は2011年に龍山公園総合基本計画を立てたが、2014年に朴槿恵政府が「韓米連合司令部の龍山基地残留」を決定してから内容が大きく変わり、日程にも支障をきたした。今回の連合司令部移転推進は、当初の龍山公園計画を回復するはじめの一歩になるものと予想される。
韓米連合司令部が合同参謀本部に移転すれば、北側の龍山公園(現在の米軍基地のうちメインポスト)の空間は米国大使館(7万9千平方メートル)を除きすべて市民の空間に変わる。左に戦争記念館(11万6千平方メートル)があるが、龍山公園と統合して使うことができる。また、韓米連合司令部の跡地が公園に変われば、南側の龍山公園(現在のサウスポスト)から北側の公園への移動がとても便利になる。連合司令部敷地がふさいでいる北側の公園の東側全体が開かれるからだ。
しかし、南側の公園の状況は依然として深刻だ。龍山公園左の三角地駅の方は、国防部と合同参謀本部(28万平方メートル)があり、その横は米軍施設のドラゴンヒルホテル(8万4千平方メートル)と防護・出入り施設(7万4千平方メートル)がそのまま残る。また、国防部の南側にはヘリポート(5万6千平方メートル)があり、龍山家族公園の東側には米国大使館宿所(17万4千平方メートル)が2025年頃まで残ることになる。全部で66万8千平方メートルとなる。したがって韓国龍山公園は、国防部とドラゴンヒルホテルの南側と国立中央博物館の北側だけが実質的な公園として使われるものとみられる。
韓米連合司令部が龍山基地に残るようになった過程も数奇だ。当初、韓米連合司令部は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府のときの2012年に計画した戦時作戦統制権(戦作権)還収によって解体される予定だった。2010年、李明博(イ・ミョンバク)政府が戦作権返還を2015年へと遅らせ、2014年10月に朴槿恵(パク・クネ)政府が戦作権返還を無期限延期して、問題が生じた。米軍が戦作権を持ち続けたことによって連合司が必要だったのだ。このために2014年、韓米安保協議会議(SCM)で両国は龍山基地の従来の連合司令部を引き続き維持することを決定した。
文在寅(ムン・ジェイン)政府が発足し、状況は一変した。文在寅政府は戦作権の還収を再び推進することにし、龍山公園造成に障害になっていた連合司令部の移転も国防部に注文した。ソウル市の龍山公園の諮問委員長を務めたチョ・ミョンレ環境政策評価研究院長は「韓米連合司令部の敷地を空けることだけでも意味が大きい。しかし、中長期的には国防部や合同参謀本部を陸・海・空軍本部がある忠清南道鷄龍台(ケリョンデ)に移してこそ、完全な龍山公園を造成することができる」と話した。ファン・ピョンウ韓国文化遺産政策研究所長も「国防部は龍山から出まいとし、文化部などは龍山公園に入ろうとがんばっている。これ以上龍山公園に新しい建物を許可してはならない。龍山基地の全体を空けて、市民公園にしなければならない」と話した。