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脱北兵士の「決死の脱出」…追いかけてきた北朝鮮軍4人がすぐ後ろから銃撃

登録:2017-11-23 04:41 修正:2017-11-24 01:58
JSA脱北兵士、監視カメラに収められた緊迫の瞬間 
全速力で「72時間橋」渡り 
軍事境界線の目の前に停まった車 
脱北兵士が下りて駆け出し 
 
追撃組中1人が軍事境界線を越えたが 
数秒後に慌てて戻る 
 
警備隊2人が匍匐前進で近づき 
脱北兵士引きずり車両で移送
今月13日、板門店共同警備区域(JSA)を通じて脱北した兵士がジープ車を運転し、「72時間橋」を走っている=国連軍司令部提供映像からキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 国連軍司令部が22日公開した北朝鮮軍の脱北映像には、緊迫した13日午後の板門店(パンムンジョム)共同警備区域(JSA)の状況がそのまま収められている。

 公開された監視カメラ(CCTV)の映像は、当初合同参謀本部が今月14日に事件を把握したと明らかにした「13日午後3時14分」の3分前の時点から脱北兵士の姿をとらえている。この兵士が乗っている黒色の軍用ジープは田畑の間の道路を早いスピードで走り、「72時間橋」に向かった。北朝鮮軍がいつこの事態を把握したのかは定かではないが、北朝鮮軍兵士らは車が検問所のビルを過ぎ去るのを見て飛び出した。板門店の西に位置した72時間橋は「沙川」(サチョン)に置かれた橋で、1976年に北朝鮮軍が72時間で建設したという。

 橋を渡った脱北兵士の車は、北朝鮮共同警備区域の故金日成(キム・イルソン)首席親筆碑の前で急に右折した後、軍事境界線を目前にしてそれ以上進めなかった。軍事境界線の北側10メートル地点で排水路に車輪が挟まったのだ。

板門閣から車両に駆けつける北朝鮮軍ら=国連軍司令部提供映像からキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 次の映像には北側の板門閣と周辺の警戒所にいた北朝鮮軍4人が驚いたように慌てて車の方に走っていく姿が映っていた。脱北兵士が車から降りて軍事境界線に向かって走り始めた時には、追撃してきた北朝鮮軍兵士らが5~6メートルまで接近する危険な場面もあった。追撃組は、軍事境界線を越えた脱北兵士に向けて銃撃を始めた。AK式ライフルを持った1人は、すぐさまうつ伏せになって照準射撃をしており、残り3人は左右で座ったり立った姿勢でピストルを撃った。合同参謀本部は追撃組が当時、実弾40発以上を撃ったと発表した。

脱北兵士がジープから降りて逃げている=国連軍司令部提供映像からキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「伏せ撃ち」の姿勢で銃を撃った北朝鮮軍は脱北兵士を追って一瞬軍事境界線を越えた。自らそれを確認して当惑したらしく、急いで北側に戻り、建物の角へと消える姿も映った。彼が軍事分界線の南側に留まった時間は4~5秒ほどとみられる。国連軍司令部は、北朝鮮軍が南に向かって銃を撃った行為と軍事境界線を越えた行為が「休戦協定違反」だと指摘した。

武装した北朝鮮軍1人が軍事境界線(MDL)を越え、慌てて北朝鮮側に戻っている=国連軍司令部提供映像からキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 この日の映像の公開で、政界を中心に議論になった問題は一段落するとみられる。ソン・ヨンム国防部長官は、先週14日、国会国防委員会で「北朝鮮の銃弾が南側へと飛んできたのは事実だ」いう趣旨で答弁し、当日記者団に「被弾痕はまだ確認されていない」とした韓国軍関係者と足並みが乱れる場面もあった。

 映像の最後には韓国軍の警備大隊の幹部3人が共同警備区域の建物の近くに倒れている脱北兵士を後送する場面が映っていた。赤外線戦場監視システム(TOD)で白く現れている韓国軍警備隊隊長と副士官2人は、低い姿勢で脱北兵士に近づいて行った。警備隊隊長はそのまま止まっており、副士官2人が匍匐前進で接近し、脱北兵士を引きずって大隊長のいる場所まで戻ってから、素早く脱北兵士を車に乗せた。警備隊隊長が救助現場にいなかったという一部マスコミの報道は事実でないことが確認された。

韓国軍警備隊隊員らが共同警備区域の建物の壁の下に倒れている脱北兵士に低い姿勢で近づいている赤外線戦場監視システムの場面=国連軍司令部提供映像からキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 同日の調査結果を発表したチャド・キャロル国連軍司令部報道官は当時、韓国軍共同警備区域の警備大隊が「対応射撃」をしなかったことをめぐる論議を意識したかのように、「(国連軍司令部は)問題を深刻化させず収拾した共同警備区域の警備大隊所属の韓国軍大隊長の戦略的な判断を支持する」と強調した。また、国連軍司令部は「国連軍所属の警備隊員の対応は非武装地帯を尊重して交戦発生を防止する休戦協定の協定文及びその精神に立脚して行われたことを申し上げたい」と強調した。

 今回の事件の調査は、韓国や米国、オーストラリア、ニュージーランド側関係者らで構成された在韓国連軍司令部特別調査チームによって行われた。すべての調査過程は、スウェーデンとスイスの中立国監督委員会の関係者が見守ったと、国連軍司令部は発表した。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/820296.html韓国語原文入力:2017-11-22 22:37
訳H.J

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