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野党分裂と“北風”に乗って圧勝した安倍、来年戦争が可能な国への改憲を試みるか

登録:2017-10-23 06:56 修正:2017-10-24 18:02
野党分裂で漁夫の利に北朝鮮脅威論効果 
立憲民主党が奮発したが、「安倍1強」対抗が難しい 
日本の政治の保守化、リベラル自任するところを探すのが難しい
安倍晋三首相が衆議院の早期総選挙前日の21日夜、東京の秋葉原で開かれた最後の遊説で支持者たちと手を握っている=東京/EPA聯合ニュース

 安倍晋三首相が22日に開かれた衆議院の早期総選挙の勝負手で起死回生し、圧勝を収めた。23日午前1時50分、開票基準で自民・公明の連立与党が改憲発議線である310議席を上回る議席を確保し、「安倍独走体制」がさらに強化され、安倍首相が生涯の課業と推進してきた改憲の試みも早まるものとみえる。日本の戦後体制は勿論、北東アジア全体にも相当な波紋が予想される。

 安倍首相は今年に入って「私学スキャンダル」などで支持率が急落するなど危機に陥ったが、先月末衆議院解散勝負手を打った後、野党の分裂と「北朝鮮脅威論」に乗って圧勝を収めた。

 最近まで内閣非支持率が支持率よりも高い状況だったにも関わらず、自民・公明の連立与党が圧勝を収められた最も重要な原因は、日本の「リベラル」(進歩)の没落と野党分裂による漁夫の利の効果だ。第1野党の民進党は衆議院が解散した先月28日、民進党の名前で公認をせず、小池百合子東京都知事が代表に就任した新党「希望の党」に合流するという爆弾宣言をした。支持率が6~7%台に止まっていた民進党は内部の保守派と進歩派間の葛藤が深刻化すると、選挙を控えて党を事実上解体した。

日本の衆議院選挙結果//ハンギョレ新聞社

 安倍首相の対抗馬として注目された小池知事の希望の党が中心になり、野党再編が行われる可能性も提起されたが、結果はそうではなかった。右翼寄りの小池知事は平和憲法の改正と集団的自衛権の行使を可能とする安全保障の法制に賛成しない民進党候補者らは公認から排除すると宣言し、民進党内の進歩派は枝野幸男元官房長官を中心に「立憲民主党」という政党を新たに立ち上げた。この結果、小選挙区289カ所のうち与党候補1人に対し野党候補数人が対決する構図が形成された所が、全体の約80%に該当する226カ所もなった。

 希望の党は合流を決定した民進党出身の立候補希望者に、外国人参政権付与反対、憲法改正に対する支持をはじめとする8項目に対する署名を要求するなど思想検証に出る姿まで見せ、「排除の政治」で国民に失望感を抱かせた。「原発ゼロ」を除いては改憲賛成、集団的自衛権法への支持など自民党との差別化が図れなかった。「小池劇場」が失敗した小池知事は選挙を控えてフランスに出張した。希望の党は38~59議席を得るに止まっているという出口調査結果が出た。

 安倍首相をはじめとする自民党指導部が選挙期間の間じゅう北朝鮮の脅威を強調した点も、保守層を結集させたようにみえる。安倍首相は選挙運動の最終日の21日、東京秋葉原駅での演説で「北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを2回発射した」とし、「北朝鮮が私たちを脅迫している。北朝鮮の脅威に屈するわけにはいかない」と話した。演説の3分の1ほどを北朝鮮脅威論に割きながら、、「日米同盟を強化した自民・公明党政権が日本を守ることができる」と話した。自民党が今回の選挙で掲げたスローガンは「この国を、守り抜く。」だった。秋葉原で会った40歳男性有権者は自民党を支持する最も大きな理由は何かを尋ねられると、「やはり安保問題が一番大きい」と話した。

 選挙の後、安倍首相は「安倍1強体制」をさらに強化しつつ、平和憲法体制を破り「戦争ができる国」を可能にする改憲の日程に拍車をかけるものとみられる。安倍首相が憲法9条に自衛隊の根拠を明示する方法で改憲を強行すれば、北東アジアの緊張は急激に高まるものと懸念される。

 自民党内で安倍首相に対する反発があるとはいえ、今回の総選挙の圧勝で安倍首相は2021年9月まで首相職を維持する可能性が高まった。国内政治で安定を確保した安倍首相は来月5日から予定されたドナルド・トランプ米大統領の訪日をはじめ、外交問題にも集中しながら、対北朝鮮圧迫もさらに強化するものとみられる。安倍首相は韓国との安保・経済協力は引き続き推進するものの、韓日政府間「慰安婦合意」をはじめ歴史問題などでは続けて右傾化の歩みを見せるものと予想される。

東京/チョ・ギウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/815557.html 韓国語原文入力:2017-10-23 02:01
訳M.C(1933字)

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