国家情報院積弊清算TFが、これまで調査してきた結果をまもなく検察に渡す予定だという。14~15件の調査対象には、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政府時代の積弊が半分程度ずつ混ざっているが、相当部分は両政権を通して続いた構造的犯罪だ。2012年の大統領選挙過程で露見したコメント工作が、朴政権になって停滞された程度が違うだけで他の様相はほぼ同じだ。
ブラックリストを通した各分野に対する統制・弾圧と、ホワイトリストを活用した極右団体動員政治工作は両政権を通して続いたとみられる。大統領選挙を控えて密かにコメント工作を行った国家情報院が、大統領選挙後には機密文書である南北首脳会談会議録を公開し、まったく遠慮のない政治介入に乗り出した。野党と市民団体を弾圧するために、極右団体を背後から操縦し、オン・オフラインで工作を行わせたのもまったく同じだ。査察や工作には、公営放送をはじめとするマスコミはもちろん、最高裁(大法院)や憲法裁判所などの司法機関も例外でなく、現職検察総長の私生活までも暴いた。いわば過去の軍事独裁政権で見られたような反民主的憲政蹂躪行為が長期にわたり強行されたのだ。
民主主義を礎から蝕む工作政治の氷山の一角があらわれ始め、その犯罪勢力と保護勢力がノコノコと反発の動きを露骨化している。李明博元大統領の「退行」発言と側近の「政治報復」発言に続き、今度は朴槿恵政権の反逆者までが朴前大統領の釈放を要求し始めた。一部の保守マスコミまで「便法」を云々して、彼らに肩入れしている姿は理解し難い。
10日に開かれる裁判で検察が請求した追加逮捕状発給の可否が扱われる予定だという。弁護人側は、病院の診療記録まで提出し、住居が一定で逃走の憂慮がないので釈放しなければならないと主張する。しかし、チェ・スンシル、アン・ジョンボム、チャ・ウンテク被告などの拘束が延びた事例に照らして、主犯格である被告人の釈放可能性は低いと見られる。しかも、拘束以前から押収捜索や召喚などの法手続きを無視し、拘束後にもすべての責任を部下や側近に押し付けて、毎度法廷への出席と証言を拒否するなど司法府を愚弄してきたのに、その被告人だけを釈放するのは法と正義にも反する。
政財界の最高権力者拘束の後、背後で彼らに肩入れする政財界、マスコミの利害関係者の声はきわめて不純だ。憲法を蹂躪し、民主主義を破壊した被告人さえ法で断罪できないならば、その責任は司法府全体に問われることになるだろう。