グアムに旅行に行った法曹人夫婦が子どもたちを車の中に置いたまま買い物に行って逮捕されたのに続き、ソウル九老区(クログ)の火災で7歳の子どもが一人で家にいて死亡した事件をきっかけに、子どもの放任を何でもないことのように考える韓国の社会文化を変えなければならないと指摘されている。米国やカナダの一部の州のように、子どもを一人で置いておくことができないよう、法で強制すべきだという主張も提起されている。
■「子どもの安全事故」、家庭で最も多い
8日昼、ソウル九老区開峰洞(ケボンドン)のあるアパートから火災が発生し、一人でいた7歳のC君が意識を失った状態で発見された。キッチンの方から瞬く間に広がった火を避けられなかったC君は、病院に運ばれたが、結局死亡した。当時、C君の母親は職場に出勤している状態であり、父親は子どもを家に一人で残して2時間ほど公園で運動をしていたという。4月には母親が買い物に行った間に6歳の男の子がマンションの15階から落ちて死亡し、3月にもベビーシッターが席をはずした間に子どもが墜落死するなど、車の中や家に一人でいる子どもが火災・墜落などで死亡したり負傷する事故が後を絶えない。
韓国消費者院が2013~2015年に起きた子どもの安全事故7万6845件を分析した結果によると、事故が最も多く発生した場所は「住宅」で、全体の69.1%(5万3072件)を占めた。安全な空間と考えられている家庭で最も多くの事故が発生したのだ。ソウル神学大学のファン・オッキョン教授(保育学)は「韓国の親は普通の子どもが一人でご飯を食べて動けるようになったら、一人で家に置いても大丈夫だと考えるが、これは非常に危険だ」とし、「子どもにとっては風呂場や台所など、日常空間もすべて凶器になりうる」と話した。
■「1分放置」も放任…法・制度改善が並行すべき
昨年4月、全羅南道光州(クァンジュ)の特殊学校の通学バスに放置されて死亡したパク・ハヌム君(9)のエピソードが伝えられ、国会は子どもの通学バスの運転手が運行を終えて車から降りる前に子どもたちがみんな降りたかどうかを確認するよう強制する道路交通法改正案を可決させた。しかし、児童が実質的な身体・精神的な危害を被らない限り、その他の児童放置行為自体は法律規制の死角地帯にある。
児童保護専門家らは、子どもを一人で「ちょっと」放置することも放任と見做すべきだと指摘する。「グッド・ネイバース」のキム・ジョンミ児童権利事業本部長は「子どもが家に一人でいるのは韓国社会で非常に一般化しているが、事実上の放任」だとし、「幼児や乳児は特に危険だ。法で明確に基準を決めて制裁する必要がある」と話した。キム本部長は「ただし、仕方なく子どもが一人でいるケースが生じる共働き夫婦や片親家庭などのためにケアサービスのような社会保障体系がきっちりと用意されなければならない」と付け加えた。建陽大学のユン・ソニョン教授(児童保育学)も「児童の安全事故の大半は大人がのそばにいるだけで予防できる。子どもを車に一人で置いた親を処罰するなど、法的処置があるなら事故予防効果があるだろう」と話した。
一部の国は子どもを一人で家に置くことができる最小年齢を法で強制している。米国の場合、ノースカロライナ州・メリーランド州は8歳、ニューメキシコ・オレゴン州は10歳、イリノイ州は14歳などだ。カナダは13州のうち3州が12~16歳以下の児童を一人にした場合、処罰している。