北朝鮮選手がフィギュアスケート・ペア部門で五輪出場権を獲得し、2018平昌(ピョンチャン)冬季五輪に北朝鮮が参加する可能性が高まった。平昌冬季五輪が米朝間の激しい攻防で緊張が最高潮に上がった朝鮮半島情勢を和らげる反転の契機になるかが注目される。
北朝鮮フィギュアペア種目のリョム・デオク(18)‐キム・ジュシク(25)ペアは9月29日(韓国時間)、ドイツのオーベルストドルフで開かれた2017国際スケート連盟(ISU)ネーベルホルン杯大会で、自身らの史上最高である180.09点(ショート60.19点+フリー119.90点)を得て6位を記録し、平昌五輪のチケットを確保した。これに先立って、2人の選手は2月に札幌アジア大会で銅メダルを獲得したことがある。
北朝鮮選手のうち、平昌冬季五輪の出場権を自力で勝ち取ったのはこの二人の選手が初めてだ。これで2014年ソチ冬季五輪時に出場権がなく不参加だった北朝鮮は、2010年バンクーバー五輪以後、8年ぶりに冬季五輪の舞台に立つ資格を得た。北朝鮮は、ハンガリーで行われる国際スケート連盟ショートトラック1次ワールドカップに男性2人(チェ・ウンソン、キム・ウンヒョク)を出場させるなど、五輪のチケットに挑戦している。彼らは今回の1次では脱落したが、冬季五輪ショートトラックの出場権はこれから先の2~4次ワールドカップの成績まで総合して決定される。特に11月の4次ワールドカップは、ソウル木洞(モクドン)で開かれる。この他に、クロスカントリーで北朝鮮がワイルドカードを受けて出場する可能性も指摘されている。
北朝鮮選手が出場資格を得て、平昌冬季五輪を朝鮮半島の安定と平和のための“テコ”にするという文在寅(ムン・ジェイン)大統領の構想が現実化されるかどうかに関心が集まっている。大統領府関係者は「北朝鮮が平昌五輪に参加する契機を得られたことを歓迎する」とし、「フィギュアだけでなくもっとたくさんの選手団が参加できる契機になってほしい」と話した。文大統領は9月21日、国連総会の基調演説で「(平昌冬季五輪)開会式場に入場する北朝鮮選手団、熱く歓迎する南北共同応援団、世界の人々の晴れ晴れとした顔を想像すると胸が熱くなる」とし、北朝鮮の平昌冬季五輪への参加を促した経緯がある。
リレハンメル冬季五輪を控えた1993年10月の総会決議(48/11号)の採択以降、国連は五輪を控えた毎年五輪・パラリンピック開幕7日前から閉幕7日後まで「五輪停戦」を遵守することを加盟国に要請する決議を採択してきた。韓国政府も慣例に従い「停戦決議案」をすでに国連総会に提出した状態だ。平昌冬季五輪は来年2月9~25日、平昌パラリンピックは3月9~18日に開かれる。したがって、オリンピック開幕7日前の来年2月2日からパラリンピック閉幕7日後の3月25日までが「五輪停戦」期間になる。
オリンピックへの参加に否定的だった北朝鮮も最近、態度を変える兆しがある。北朝鮮国際オリンピック委員会(IOC)のチャン・ウン委員は9月16日、ペルーのリマで開かれたIOC総会参加当時、「政治と五輪は別と考えている。参加資格があれば参加を決定するだろう」と述べている。大韓体育会のキム・ヨン事務処長は「北朝鮮がペアで出場権を獲得しうれしい。(平昌冬季五輪に)北朝鮮が必ず出席し、スポーツが南北和解ムードの先頭に立てると良い。他の種目でも北朝鮮選手らの善戦を期待する」と話した。