韓国政府が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が6日、ドイツで明らかにした「ベルリン構想」を履行するための後続措置に乗り出した。統一部のイ・ユジン副報道官は7日、定例ブリーフィングで「大統領が提案した南北間の様々な課題を履行するため、後続措置案を用意している」とし、「南北離散家族再会に向けた赤十字実務会談と敵対行為の中止のための軍事実務会談も検討していると聞いている」と話した。対北朝鮮特使派遣については「北朝鮮の核問題や南北関係を解決するのに必要なら、推進していくこともできる」と述べた。
■軍事的な敵対行為の中止
政府は「休戦協定64周年の今月27日を期して、軍事境界線から軍事的緊張を高める一切の敵対行為を中止しよう」という文大統領の提案を実現するためには、1~2週間以内に南北間軍事会談を開催しなければならないと判断している。27日までに南北が敵対行為の中止に合意するには時間が差し迫っているからだ。
現在、南北間の軍事境界線周辺の敵対行為は主に南北間の拡声器放送とビラ散布などだ。南北は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2004年6月、「西海(黄海)海上における偶発的衝突の防止と軍事境界線地域での宣伝活動の中止及び宣伝手段の除去に関する合意」(6・4合意)に基づき、拡声器などを全て撤去した。しかし、朴槿恵(パク・クネ)政権当時の昨年1月、北朝鮮の4回目の核実験以降、対北朝鮮拡声器放送は全面再開され、北朝鮮も対南拡声器放送の再開で対抗している。
南北間のこのような拡声器放送など宣伝戦を中断しようとする文大統領の提案には、北朝鮮も応じる可能性がある。北朝鮮も数回提案したことのある事案だからだ。実際、北朝鮮は昨年5月の第7回党大会決定書でも、南北間の軍事当局会談を提案し、誹謗中傷など一切の敵対行為の中断を主張したことがある。一部では南側が先制的に対北朝鮮拡声器放送を中断する案も取り上げられている。
■離散家族再会・墓参り
今年の秋夕(<チュソク>、旧暦8月15日)の10月4日は、ちょうど盧武鉉元大統領と金正日(キム・ジョンイル)総書記の「10・4首脳宣言」10周年と重なる。北朝鮮も10・4首脳宣言を重要な南北合意として見なしているだけに、これを記念する離散家族再会・墓参りのイベントは意味が大きいと大統領府は見ている。
離散家族再会行事は、南北和解と交流を象徴する代表的な行事だ。南北関係を反映するバロメーターでもある。実際、離散家族再会行事は2000年当時、金大中(キム・デジュン)大統領と金正日(キム・ジョンイル)総書記の6・15共同宣言を契機に本格化し、2001年8月から2007年まで16回開かれた。2003年には南北が映像再会にも合意し、2008年7月には金剛山(クムガンサン)に離散家族面会所も竣工された。しかし、李明博(イ・ミョンバク)政権以降、南北関係が行き詰ったことで、離散家族再会行事も動力を失っていった。李明博政権では2009年と2010年の2回、朴槿恵政権では2014年に1回開かれるに止まった。
その間、離散家族には高齢化が急速に進んだ。昨年11月30日基準に統一部に登録された離散家族13万1115人のうち生存者は6万2603人、死亡者は6万8125人で、死亡者が多くなった。離散家族問題の解決が急がれるのも、そのためだ。政府は離散家族再会の準備に少なくとも1カ月以上かかるため、8月末以前には南北合意が行われなければならないと判断している。統一部当局者は「近いうちに離散家族再会に向けた赤十字会談の日程などを具体的に明記し、北朝鮮に提案する案を検討していると聞いている」と話した。
■スポーツ交流
文大統領が明示的に提案したのは「平昌(ピョンチャン)冬季五輪への北朝鮮の参加」だ。南北単一チームの提案などには言及しなかった。最近訪韓した北朝鮮のチャン・ウン国際オリンピック委員会(IOC)委員が単一チーム構成に冷笑的な反応を示したことで、内容を調整したものと見られる。また、来年2月に開かれる平昌冬季五輪の開催まで単一チームを構成するためには、南北体育会談などを通じてチームを構成する案などを協議しなければならならず、物理的にも時間が足りないという判断もあったものとみられる。しかし、政府は北朝鮮が応じるならいつでも単一チームを構成できるという立場で臨んでいることが分かった。
南北間には1991年の千葉世界卓球選手権大会とリスボン世界青少年サッカー大会で単一チームを構成するなど、活発なスポーツ交流が関係改善の架け橋の役割をした事例がある。必ず単一チームでなくても、2000年9月のシドニーオリンピック開幕式では共同入場しており、2002年6月の釜山(プサン)アジア競技大会や2003年8月の大邱(テグ)ユニバーシアード、2014年仁川(インチョン)アジア大会には、北朝鮮から選手団と応援団を派遣したことがある。