2015年11月の民衆総決起集会で、農民ペク・ナムギ氏を倒れさせた警察の放水車の水圧制限装置が故障していたことが確認された。また、該当する放水車を操縦していた警察官のうち1人は経理業務担当職員で、放水車の運用指針を出動前日に初めて見たとも述べた。ソウル地方警察庁が事故直後に作成した「聴聞監査報告書」には、放水車の管理・運用体系の弱点がそっくり含まれていた。
28日、警察やペク・ナムギ闘争本部、民主社会のための弁護士会の説明を総合すれば、当時ペク・ナムギ氏に放水銃を撃った放水車(チュンナム放水9号)は、最大水圧制限機能が故障しており「警察装備の使用基準等に関する規定の放水車使用指針」が許容する最大水圧(15bar)を出すポンプ回転数(3000rpm)をオーバーしうる状態だった。警察はこれを直すために、この車両の修理に出したが、修理業者は「古くて直せない」と判断した。
事故直後にこうした事実を把握したソウル地方警察庁聴聞監査官室は「ペク・ナムギ氏に最大水圧を超えて放水したのではないか」と放水車運用警察官に集中的に尋ねた。だが、当該警察官は「(ポンプの回転数が)2800rpmを超せば、体に感じるほど放水車に無理がかかるので2800を超していなかった。ずっとrpmに注目していた」と答えた。こうした事実は、ソウル地方警察庁が今月23日に裁判所に「聴聞監査報告書」を提出して明らかになった。検察の捜査が進行中という理由で、裁判所に対する提出を拒否した報告書を、最近になって警察は態度を変えて裁判所に提出した。
運用要員の放水車操縦経験が浅かった点も明らかになった。当日放水車の操作を担当した警察官のうち1人は、集会現場出て行ったことも初めてであり、夜間放水も初めてだった。この警察官は「放水車運用指針を集会前日の11月13日に初めて見た」とも陳述した。民主弁護士会は「警察は『放水車運用指針を遵守し、放水車運用教育をしっかり実施していた』と説明してきたが、放水車の運用および管理体系がまともに作動していたのか疑問を抱かざるをえない」と明らかにした。
不良監査疑惑も出てきた。警察は放水車を運転した警察官2名に対して質疑応答形式の調査をしただけで、放水現場を目撃した第三者については調査しなかった。警察関係者は「検察の調査が始まって監察を仕上げられなかっただけで、不良監察ではない」と弁明した。