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[社説]「放水銃」の名前を変えるだけで「人権警察」になれるだろうか

登録:2017-06-07 03:19 修正:2017-06-07 07:03
2015年11月14日、農民ペク・ナムギ氏が警察の高圧放水銃に撃たれてソウル鍾路区庁入口の交差点で倒れている//ハンギョレ新聞社

 イ・チョルソン警察庁長が5日、記者懇談会を開いて、デモ現場で散水車(放水銃)の直射放水を禁止するのは難しいとの立場を示した。イ庁長のこのような発言は、捜査権調整の前に、人権にやさしい警察に生まれ変わることを求める新政府と国民の要求に、冷や水を浴びせることに他ならない。警察がまだ心を入れ替えていないようだ。

 「直射放水」は農業者のペク・ナムギ氏事件以降、争点に浮上した事案だ。故ペク・ナムギ氏は2015年11月、都心デモの途中、警察の「直射放水銃」に打たれて倒れてから、317日後に亡くなった。この事件で警察の放水銃使用に対する激しい批判の声が高まった。昨年、共に民主党のチン・ソンミ議員は直射放水そのものを不可能にし、放水銃に催涙液を混合することも禁止する「警察官職務執行法」の改正案を発議した。また、今年1月には、国家人権委員会が「個人の身体と生命に致命的な影響を与える可能性があり、人に対する直射放水を禁止しなければならない」と明らかにし、警察官職務執行法を改正すべきとの意見を国会議長に伝えたこともあった。

 警察が人権に関心があるならば、少なくとも人権委員会の勧告が出た時、直ちに応えるべきだった。しかし、警察は何の反応も示さず、新政権が発足し、大統領府が警察に人権にやさしい警察像をどう実現するのかについて実行案をまとめるよう要求した頃に、ようやく変化に乗り出した。ところが、このような変化も国民の要求にははるかに及ばないものだ。直射放水を固執するというイ庁長の発言は「人権最優先」という時代の要求に従わないということに他ならない。これでは国民がどうやって警察を信じて捜査権を与えられるだろうか。

 イ庁長は同日、散水車の名前を「チャム水利車」に変えると発表した。散水車は響きが良くないという世論があり、「真に水を利用する」という意味で「チャム水利車」と呼ぶことにしたというが、これこそが腐った魚をそのままにして包装紙だけを取り換えるようなものだ。名前を変えるからといって問題の本質が消えるわけではないというのは、誰でも知っている。警察は、国民を欺くことをやめて、人権と生命を最優先で保護する方向で内部指針を改めなければならない。国会はすでに発議された警察官職務執行法改正案の通過に全力を傾けるべきだ。警察の自己改革だけを信じて待っているわけにはいかない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/797718.html 韓国語原文入力:2017-06-06 17:59
訳H.J(1139字)

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