本文に移動

[社説]警察庁長官の“農民ペク・ナムギ氏謝罪”、これが謝罪なのか

登録:2017-06-16 22:22 修正:2017-06-17 07:09

 ソウル大学病院が15日、農民の故ペク・ナムギ氏の死亡原因を訂正したのに続き、警察が16日初めて謝罪した。故人が2015年11月14日、警察が撃った放水銃に撃たれ、317日間ソウル大学病院集中治療室で死闘を繰り広げ、昨年9月25日に亡くなってから9カ月後だ。当然しなければならないことを、あまりにも遅くした。そのうえ、謝罪の形式と内容までが遺族の苦痛を慰労するにはきわめて不十分だった。

イ・チョルソン警察庁長が16日午後、ソウルの警察庁で開かれた警察改革委員会発足式で農民の故ペク・ナムギ氏と遺族に謝罪し、頭を下げている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 イ・チョルソン警察庁長は警察庁で開かれた警察改革委員会発足式で「新政府スタートと共に、警察の人権改革を要求する声と期待が高い」として「今日この席を借りて、この間の民主化過程で警察によって亡くなられた朴鍾哲(パク・ジョンチョル)氏、李韓烈(イ・ハニョル)氏、特に2015年の民衆総決起集会の過程で亡くなられた農民の故ペク・ナムギ氏と遺族の方々に心から謝罪の言葉を申し上げる」と述べた。わずかこの1センテンスだ。警察の行事挨拶をしながら、他の民主烈士と共に故人をざっくりまとめて言及してやり過ごした。警察が何を過って故人が命を失うことになったのかという説明はなかった。警察は事前に遺族に知らせることもしなかったという。遺族が真の謝罪と受けとめるかは疑問だ。検察・警察の捜査権調整を意識した「形式的謝罪」という批判が出てくる所以だ。「ペク・ナムギ闘争本部」は声明を出し「真正性の見えない謝罪を受け入れることはできない」と明らかにした

 イ庁長は再発防止のために「今後、一般集会やデモ現場に放水車を配置せず、使用要件も最大限に厳格に制限する」と明らかにした。一般集会の定義も不明だが、何よりも故人の死亡過程に対する真相究明と責任者処罰の意志が見られなかったことが遺憾だ。故人が倒れた直後、遺族が警察関係者を検察に告発したが、1年半が過ぎても捜査は進展せず、警察は検察の捜査を理由に自主監察をしようともしない。誰がどのように故人を死に追い込んだのか、明確にして厳重に責任を問わなければならない。

 ソウル大学病院もこれほど遅れて死因を訂正したことについて、無責任と誹りを免れない。誰が見ても明白な死因をねじまげて、故人と遺族に回復不能な傷を残したのに、15日の記者会見では反省と謝罪はみられなかった。責任者であるソ・チャンソク病院長とペク・ソンハ教授に至っては姿すら見せなかった。故人の死因をねじまげた理由を明らかにし、責任を厳正に問うてこそ、こうした呆れ返ることの再発を防ぐことができる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/799124.html 韓国語原文入力:2017-06-16 18:11
訳J.S(1182字)

関連記事