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核凍結・解体の「2段階論」と非核化・南北関係改善の「並行論」を提示

登録:2017-06-22 03:51 修正:2017-06-22 07:56
文大統領の外国メディアとの会見で明らかになった対米・対北朝鮮政策
文在寅大統領が今月20日午前、大統領府緑地園で、米国CBSのプログラムである「ディスモーニング」(This Morning)のノラ・オドネル氏のインタビューを受けている=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が来週、韓米首脳会談を控えて、米国メディアと相次いでインタビューを行い、北朝鮮核問題の解決と南北関係改善戦略の基調を具体的に示した。文大統領は核問題の解決策として凍結と解体の「2段階論」を提示する一方で、北朝鮮の非核化と南北関係改善を同時に推進する「並行論」を提示した。南北首脳会談と開城(ケソン)工業団地の再開など、北朝鮮がこれを受け入れた場合に提供できる“ニンジン”にも言及した。文大統領はこの過程で、韓米協力の重要性を重ねて強調しながら、北朝鮮核問題の解決策について、ドナルド・トランプ米大統領と「同じ考え」であることを掲げた。文大統領のこのような構想は、間近に迫った韓米首脳会談と北朝鮮の対応によって成否が分かれるものとみられる。

 文大統領が前日のCBS放送とのインタビューに続き、20日(現地時間)にはワシントンポストと行ったインタビュー内容を総合すると、文大統領は、北朝鮮の核・ミサイル活動を凍結し、さらに北朝鮮の核プログラムの完全なる廃棄を達成するという「2段階論」を核問題の解決策として提示した。「段階的非核化」は北朝鮮核問題の解決に向けた6カ国協議の過程で出た9・19共同声明(2005年)と2・13合意(2007年)にも明示された解決策で、当時は北朝鮮の核の「凍結-無力化-廃棄」の3段階だった。

 文大統領の2段階にわたる北朝鮮核問題の解決策について、ドナルド・トランプ米大統領はひとまず肯定的な反応を示す可能性が高い。トランプ政権も、朝鮮半島非核化という目標については意見の差がなく、現実的には凍結の過程を経ざるを得ないとみているからだ。トランプ政権は、北朝鮮が「非核化を目標とする交渉」に同意し、これに対する適切な処置を取らなければ、米朝交渉を始めることができないと明らかにしてきた。

 コリア研究院のキム・チャンス院長は「各段階をどのように精巧に設定するのかが重要だ」と話した。北朝鮮が核・ミサイルを凍結しようという提案に気軽に応じる可能性が高くないからだ。仁済大学のキム・ヨンチョル教授も「(北朝鮮の核交渉に向けて)圧迫から関与に移行する時期と方式をはじめ、関与の内容に対する具体的な韓国側の意見が必要だ」と助言した。

 文大統領は北朝鮮核問題の解決と南北関係の改善を同時に進める「並行論」の構想も明らかにした。特に、文大統領が年内の南北首脳会談の開催に向けた希望を示唆したことが目を引く。かつて李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権では、北朝鮮の非核化を南北関係改善の「入口」に置く「先核廃棄論」を固守した。ただし、文大統領が「条件」と「ムード」がそろえば北朝鮮と対話する意向があると明らかにしており、依然として対話に向けた一種の“条件”が残っているのではないかという分析もある。キム・ヨンチョル教授は「文大統領は、国内外的状況を考慮し、『先後論』を維持した状態で、次第に『並行論』に移していく必要があると考えているようだ」と分析した。

 文大統領が北朝鮮と対話の“条件”として何を念頭に置いているのかは定かではない。これと関連して文大統領が言及したのは、6・15南北首脳会談17周年記念式の祝辞で、「北朝鮮が核とミサイルの追加挑発を中止すれば、北朝鮮と条件なく対話に乗り出せること明らかにする」と述べたのが唯一だ。

 文大統領は2回のインタビューで、特にトランプ大統領との“共通点”を強調した。文大統領は「北朝鮮に対する関与はトランプ大統領の言う関与と同じだ」とし、「トランプ大統領と私には北朝鮮の核の完全な廃棄と朝鮮半島の非核化という共通の目標がある」と何度も繰り返した。また、バラク・オバマ前米大統領時代、対北朝鮮政策である「戦略的忍耐」に対する批判や「圧迫と関与」を通じた北朝鮮核問題の解決、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長との対話の可能性、朝鮮半島非核化の目標などを具体的に取り上げながら、「トランプ大統領と同じ考え」だと強調した。さらに文大統領は、北朝鮮の核問題の解決をめぐる韓国の積極的かつ主導的な役割も取り上げた。南北関係改善に対する意志を持っている文大統領が、悪化した国内外の情勢のなかで、できるだけ米国を配慮しながらも自分の北朝鮮核解決の構想を慎重に展開したものと分析される。

 文大統領のCBSとのインタビューに対し、ワシントンのある北朝鮮専門家は、「全体的に無難なインタビューだった」とし、「少し腰が低すぎると感じられる部分もあったが、韓国と米国が共に歩んでいくというイメージを伝えるのには成功したようだ」と評価した。

キム・ジウン、チョン・インファン記者、ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/799751.html 韓国語原文入力:2017-06-21 22:30
訳H.J(2140字)

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