最低賃金の引き上げと労働時間短縮・非正規職の待遇改善などは、新政府の核心的な公約に挙げられる。低賃金労働者の所得水準を引き上げ、消費を創出し、経済を成長させるという「所得主導の成長論」では「所得水準の向上」が決定的だからだ。しかし、中小企業・小商工人・零細自営業者らの懸念も見過ごせない状況だ。このようなジレンマに対し、国家雇用委員会のイ・ヨンソプ副委員長は「低賃金労働者の処遇改善によって、また別の経済的弱者層である小商工人らの負担が加重されてはならない」と強調し、「雇用委員会で汎政府レベルの小商工人・自営業者支援策を検討している」と明らかにした。
18日、ソウル政府総合庁舎昌成洞(チャンソンドン)別館でハンギョレの取材に応じたイ副委員長は、具体的な支援策の一部を紹介した。現在最大68時間である週当たりの労働時間を52時間に減らすことで発生しうる一部の労働者の賃金の減少を防止するため、イ副委員長は「労働時間を短縮しても労働者の賃金水準を維持する中小企業と、労働時間短縮を通じて雇用を創出する企業には、政府が財政・租税支援を行う」と明らかにした。彼は労働時間短縮の施行時期について、「国会で議論する際、企業の規模によって施行時期を別にし、弊害を最小化する必要がある」としながらも、企業が主張する休日・延長手当ての割増率(現在通常賃金の50%)の引き下げについては「現在議論する対象ではないようだ」と線を引いた。
イ副委員長は、雇用創出に向けた「社会的大妥協」の重要性についても何度も強調した。彼は「企業は当面の利益の減少よりも、長期的観点から企業競争力と生産性を高めるために正社員の採用を増やさなければならない」とし、「正社員労組は共生と経済の持続発展のために一定部分を譲歩する必要がある」と話した。公共部門労働組合などの社会連帯基金造成の提案に対しては「労使が少しずつ譲歩し配慮してこそ労働尊重社会を作ることができるという点で、労組の決断に国民とともに熱い拍手を送る」と明らかにした。
イ副委員長は、公務員1万2千人の採用をはじめとする史上最大規模の補正予算通過に向け、国会と国民の協力を求めた。彼は、今回の補正予算案が補正予算の要件に合致しないという野党の主張に対し、「4月の失業率が4.2%、若者失業率が11.2%と最大水準へと上昇し、国家財政法の補正予算の編成条件である『大量失業』に該当する」としたうえで、「ばらまき式の社会的間接資本(SOC)事業や苦情解決のための地域事業・一過性の事業は除外されており、補正予算要件と補正予算事業は適切だ」と述べた。彼はさらに、「政界は下半期の公務員試験の準備をしながらもどかしく待っている若者たちに希望を与えるべきであり、挫折を与えてはならない」とし、「補正予算問題を国会人事聴聞会や国務委員の任命と連携させ、政治的争点にすることがないよう願っている」と強調した。