日本に来て最も気にかかった部分の一つは放射能問題だった。出国前に東京は安全なのかと心配する人々もいたし、自分だったら東京には絶対行かないと言った方もいた。
実際に東京に到着してみると、放射能問題は別に体感できなかった。福島産のキュウリのような野菜は、東京都内のスーパーマーケットでも原産地が書かれた状態でふつうに売られていたし、地下鉄では「福島産野菜を食べて応援しよう」などと書かれたキャンペーンの立て札も見ることができる。
8~9日、日本フォーリンプレスセンター(FPCJ)と外務省が進めたプレスツアーに参加して訪問した福島県も、予想よりは平穏な姿だった。東京から約200キロメートル離れた福島は、あちこちにうっそうとした森があり、きれいな渓谷の水が流れる美しいところだった。福島第1原発の近くに行き、人が暮らせなくなり放置されている住宅も見えて、ここが6年前の大災害の現場だという事実を実感した。福島県庁は福島の空間放射線量が、ソウルなど世界の主要都市と比較しても高い水準ではないと強調した。福島県庁は、コメは袋ごとに放射性物質の全数検査をしているが、放射性物質のセシウムはほとんど検出されないとし食品安全性も強調した。福島を代表する農産物の桃は、価格が2011年東日本大地震以前の水準近くまで回復したと明らかにした。
だが、日本人たちの放射能不安が完全に去ったわけではない。昨年2月、日本消費者庁のアンケート調査では、福島産の食品購入をためらうという消費者が15.7%いた。日本では家庭に野菜を配達するサービスをする企業が多いが、各々が徹底して放射能検査をした野菜だけを販売していると強調する。福島、そして福島と近い地域を除く産地の野菜だけを配達する業者もいる。
不安が容易には去らない理由は、福島原発の放射能漏出事故を解決する確実な方法が見つかっていないためだ。福島第1原発には山側から原発内部に地下水が流れ込み、汚染水が一日約150トンずつ生成されている。かつては一日に400トンずつ生成されていたことに較べれば量が減ったが、容量1000トンの巨大な水タンクが一週間程度で満杯になる量だ。福島原発では今でも敷地の一方に水タンクを作って汚染水を取り出している。 地下水汚染を防ぐために凍土壁を作ったが、まだ完全稼動は出来ずにいる。汚染水を浄化した後に蒸発させるか海に流すかなど、最終処理方法もまだ結論が出ていない。
日本政府は原発事故当時の放射能漏出で汚染された福島の土壌を取りはらい、別に保管しているものの、最終処理場をどこに作るかという結論を下せずにいる。福島県外に最終処理場を作るという前提だけがある。福島原発を運営する東京電力は、福島第1原発の廃炉に今後30~40年かかる予定と明らかにしたが、廃炉日程が予定通りに進行されるかは誰も分からない。東京電力は昨年、福島原発事故で難しくなった財政状況を打開するための対策の一つとして、新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働計画を明らかにした。柏崎刈羽原発は、福島第1原発事故の後に稼動が中断された原子力発電所だ。原発事故で難しくなった経営を再び原発の稼動で解決しようとする計画が進行中だ。
福島原発事故は、原発で事故がおきればその後にどれほど解決困難な宿題が幾重にも積もるかを見せている。韓国にも多くの原発がある。しかも、日本とは違い古里(コリ)・新古里(シンゴリ)原発は、半径30キロメートル以内に340万人が暮らしている。昨年、慶州(キョンジュ)で起きた地震は、韓国にも地震が発生する可能性があるという事実を悟らせた。世の中に絶対安全な原発は存在しない。