韓国政府が4月に「日本軍『慰安婦』被害者問題関連韓日12・28合意」(以下12・28合意)は、被害者ハルモニ(おばあさん)の個人請求権には影響を及ぼさない」という立場を裁判所に提出していたことが分かった。韓国と日本の政府は2015年12月28日の合意当時、日本軍「慰安婦」被害者問題と関連して「最終的・不可逆的」と発表しており、政府がこのような立場を明らかにした背景に関心が集まっている。
外交部関係者は13日「今年4月『慰安婦合意は被害者の個人請求権に影響を及ぼさない』という趣旨の立場を裁判所に提出した」と話した。これと関連してチョ・ジュンヒョク外交部報道官はこの日、定例ブリーフィングで「日本軍慰安婦被害者問題が1965年の韓日請求権協定で解決されなかったという韓国政府の立場には変わりがない」と説明した。これに先立って政府は、2005年に慰安婦被害者問題は日本政府に法的責任が残っているという結論を出したことがある。だが、外交部がこうした立場を取った直接的な理由は「12・28合意が法的効力を持つ合意ではないので、これを根拠に個人の法的権利を制限することはできない」という判断のためだと伝えられた。
これについて被害者ハルモニ側では「被害者の個人請求権を認めたとすれば、政府がそのために何をするのかを明らかにせよ」と要求した。
外交部がこうした立場を裁判所に出した時期は、文在寅(ムン・ジェイン)政府がスタートする前で、当時政府は、12・28合意は誠実に履行されなければならないという方針を守っていた。個人請求権は認めても、政府の役割が前提にならないということになる。文在寅政府でもまだ12・28合意と関連した明確な解決法を出していないため、当面は外交部が立場を具体化することは難しいと見られる。
これに先立って昨年8月、カン・イルチュルさんなど12人の慰安婦被害者は「12・28韓日外交長官会談の慰安婦合意で、(国家が)自国の被害者に精神的・物質的損害を負わせた」として、国家を相手に損害賠償請求訴訟を起こした。