「どうか面接でも一度受けさせてもらいたいです」
12日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が追加補正予算案に関する施政演説を開始すると、国会本会議場のスクリーンに若者の失業の苦しみを描いた切実な訴えが現れた。大統領が補正予算案を国会で直接説明する初めての事例であり、演説内容を敷延するスライドを使ったのも初めてだった。
■「辛い生活を変えるべき」感性的説得
文大統領の施政演説の話題は「若者」と「雇用」だった。文大統領は「一生懸命勉強して大学に入学し、入試より何倍も努力して就職を準備」する「ヘル朝鮮の若者」たちの辛酸をなめるような日々に触れた。激務を強いられる消防士と配達員の業務強度を事例に挙げ、公共部門の雇用を増やすという構想も強調した。文大統領は「このように国民の辛い一日が毎日続いている」としたうえで、「この明らかな事実を直視し、それにしっかり立ち向かっていくのが、国民のために政府と国会がすべきこと」だと述べた。この部分で最初の拍手が起きた。
文大統領は「今年4月基準で、若年失業率は統計作成以来最高値の11.2%」、「体感失業率は最近3カ月間で24%前後」、「所得下位20%に該当する1分位階層の所得が2016年より5.6%減った一方、上位20%階層の所得は2.1%も増加」など若者失業と所得不平等の状況を具体的数値を示して強調した。文大統領は特に「働く機会さえもらえない今の若者が『親の世代より貧しい最初の世代』になるだろうとまで言われている」とし、「胸が張り裂けそうな話だ。若者の雇用は子どもたちの問題であると同時に、親の問題でもある。国会にも積極的に乗り出していただきたい」と、国会の協力を圧迫した。
■「若者だけではなく、女性・高齢者のための補正」
文大統領は、消防士、福祉公務員、労働監督官、警察官、軍属、郵便配達員、家畜防疫官など、国民の安全と生活の現場に必要な中央・地方公務員1万2千人を充員すると明らかにした。大統領選挙期間に約束した公共部門の雇用拡充の具体的な職役を直接提示したのだ。中小企業の経営者と勤務者が共同で控除金を積み立てれば複利利子をつけて成果補償金の形で返す「明日を満たす控除」の受恵者の拡大や、起業に失敗した人を対象とする「立ち直り支援ファンド」なども具体的に言及した。「女性のための補正予算」としては、国公立保育所360カ所の新規設置や保育所教師5千人の補充などを約束した。文大統領はまた、「補正予算で親孝行します」として、公共部門における高齢者の雇用を3万件増やし、雇用手当てを月22万ウォン(約2万千円)から27万ウォン(約2万6千円)に引き上げ、全国47カ所の認知症安心センターを252カ所に増やすと約束した。
■雇用、青年、国民を主に言及
文大統領が29分間にわたる施政演説で最も多く言及した言葉は、「雇用」(44回)と「若者」(33回)だった。その他に「国民」(24回)、「政府」(20回)、「補正」(19回)、「国会」(17回)、「雇用」(11回)、「失業」(11回)などだ。拍手は14回も出た。キム・ハクヨン、チャン・ジェウォン議員など何人かを除いた自由韓国党議員らはほとんど拍手しなかった。自由韓国党の議員全員は「国民を愚弄する人事指名を大統領は撤回せよ」というスローガンが書かれた紙を、文大統領に見えるようにそれぞれのコンピューターに張り付け、新政府の長官人選に抗議した。文大統領は演説を終えてから、国会議席の中央と周辺をくまなく回りながら、与野党議員らと握手を交わした。