文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「チョン・ユンフェ文書事件」の真実を朴槿恵(パク・クネ)政権当時の大統領府民政首席室と検察がどのように隠蔽したかについて真相を調査するよう、チョ・グク民政情首席秘書官に指示した。また、2016年9月、朴槿恵政権のあらゆる妨害の末にセウォル号特別調査委員会(特調委)活動が強制終了された経緯も調査するよう指示した。
文大統領は11日、大統領府で参謀陣と昼食を共にしながら「チョ・グク首席に対する国民の期待が非常に大きいようだ」としたうえで、「これまで、セウォル号特調委も十分に活動できずに終わったため、そのような部分がもうちょっと調査されるべきだと思われている」と話した。文大統領はまた、「国政壟断事件に対する特検の捜査が延長されず、検察捜査に引き継がれたことについても、国民は憂慮している」とし、「そのような部分が検察で十分に捜査されるようにしてもらいたい」と述べた。同日任命されたチョ・グク首席は「法律改正が行われる前にも(実行)できると思う。できるようにすべきだと思っている」と答えた。
大統領府関係者は「大統領の発言は、チェ・スンシル国政壟断事件の出発がチョン・ユンフェ事件だったにもかかわらず、真実が隠蔽された。民政首席室と検察が(捜査を)十分に行えばこのようなことは起きなかったはずだから、当時にどんなことがあったのか事態を把握すべきという趣旨」だと説明した。また、「セウォル号特調委が十分に活動できなかった背景には、どのような問題があったかを把握すべきということ」だと付け加えた。
一方、任期を6カ月以上残したキム・スナム検察総長が同日午後、電撃的に辞意を表明した。文大統領の就任翌日のことだ。キム総長は、最高検察庁を通じて「検察総長から退きたいと思う」とし、「朴槿恵前大統領関連の捜査も終了し、大統領選挙も無事に終わって新大統領が就任しており、私の役目をある程度果たしたと思い、本日辞意を表明した」と明らかにした。2015年12月2日に任命されたキム検察総長の任期は今年12月1日までだ。
キム総長の辞意表明に先立ち、大統領府はソウル大学法科大学院のチョ・グク教授を民政首席に任命し、高位公職者不正捜査処の設置や大統領府派遣検事の検察への復帰禁止など、検察改革に向けた固い意志を示した。チョ民政首席秘書官は任命後の記者会見で「高位公職者不正捜査処は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代から始まり、文在寅大統領の公約であり所信」だとして、「高位公職者の腐敗を防ぐための高位公職者不正調査処の新設に向けて、大統領府と検察、国会が協力してほしい」と述べた。
文大統領は同日、5・18記念式で「あなたのための行進曲」の斉唱を反対するなど、物議をかもしたパク・スンチュン国家報勲処長を更迭した。ユン・ヨンチャン大統領府国民疎通首席は「何度もマスコミで議論になっており、新政府の国政方向や哲学と合わない方」だとして、更迭の理由を明らかにした。文大統領はすでに辞意を表明した黄教安(ファン・ギョアン)首相の辞表も受理した。