地方自治団体の長が原子力発電所の誘致賛否を尋ねる住民投票をしたことは正当だという最高裁の判断が下された。
最高裁2部(主審キム・チャンソク最高裁判事)は11日、住民投票法の条件を具備していない三陟(サムチョク)原子力発電所誘致賛否住民投票を支援した容疑(職権乱用・権利行使妨害)で起訴されたキム・ヤンホ江原道三陟市長(56)に無罪を宣告した原審を確定した。最高裁は「キム市長の職権乱用権利行使妨害容疑と関連して無罪を宣告した1審判決を維持したことは正当で、法理を誤解するなどの違法はない」と明らかにした。
2014年の地方選挙で「三陟原子力発電所白紙化」を公約として掲げ当選したキム市長は、住民投票を実施しようとしたが三陟市選挙管理委員会などが「原子力発電所施設の立地・建設は国家事務であり、住民投票の対象ではない」として反対した。そこで市民団体は「三陟原子力発電所誘致賛否住民投票管理委員会」を作り、2014年10月9日に民間次元の住民投票を実施し、投票に参加した2万8867人のうち84.9%(2万4531人)が原発誘致に反対した。法的効力はなかったものの原子力発電所設立の可否を当事者に尋ねる韓国初の住民投票として全国的な関心を集めた。だが、春川(チュンチョン)地検江陵(カンヌン)支庁刑事部(部長ユン・ウォンサン)は2016年1月、住民投票の実施と管理を支援したキム市長と三陟市の前・現職の公務員たちを職権乱用権利行使妨害などの容疑で起訴した。
裁判所の判断は、三陟市選挙管理委や検察とは異なった。2審は「住民らによる直接的、集合的、自発的な意思表明を禁止する明確な理由はないことを考慮すれば、この事件の投票(法によらない住民投票)のような事実上の住民投票をすることは、それ自体で不法とは言えない」として、さらに「原子力発電所の誘致申請またはその撤回は、住民の福利と密接な関連があるため地方自治体の事務に属する」と判断した。これを基に「原発誘致の可否を巡って積もった尖鋭な意見対立を解消し、政府に対してより客観的で根拠が確実な住民の意思を伝達するために実施された投票の目的は正当だ」として「投票を通した住民意見の集約は住民の意志を全体的かつ直接的に確認するための実効的手段になりえ、投票の必要性と相当性がなかったとは見られない」として、2審は無罪を宣告した。キム市長らを弁護したイ・ヨンギ弁護士(法務法人自然)は「検察が1年以上にわたり捜査した後に無理に起訴した事実が裁判所で確認された」として「裁判所が原発誘致申請や撤回も地方自治体の事務であり住民投票の対象になると判断しただけに、今後政府や選管委がこれを阻もうとしてはならない」と指摘した。
一方、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4月22日に発表したエネルギー公約報道資料で、原発の新規建設を全面中断すると約束したことがある。