「キム・ボクドンさん、92回目の誕生日、おめでとうございます」
今月10日、ソウル地下鉄2号線の江南(カンナム)駅と5号線光化門(クァンファムン)駅の駅舎に日本軍慰安婦被害者ハルモニ(おばあさん)キム・ボクドンさんの92回目の誕生日を祝う内容の広告板がかけられた。地下鉄駅内にアイドル歌手の誕生日やデビューの日などを祝う内容の広告が掲げられるのは珍しくないが、慰安婦被害者の誕生日を祝う内容の広告版が登場したのは見慣れない風景だ。
白い木蓮の花で飾られた広告板にはキム・ボクドンさんの誕生日を祝うメッセージと写真が載せられた。キムさんの誕生日は4月9日だ。広告版はキムさんの誕生日当日まで地下鉄の駅舎に掲載される。広告版を設置したのは社会的企業「マリモンド」だ。同社は2015年から慰安婦被害者の尊さを表現するヒューマン・ブランディングプロジェクト「花のおばあさん」を進めている。花のおばあさんプロジェクトの一環として行われた広告版は昨年秋、日本軍慰安婦被害者ハルモニのイ・スンドクさんを紹介することで始まった。
マリモンドのユン・ホンジョ代表は、14日に行ったハンギョレとの電話インタビューで「慰安婦被害者ハルモニたちを“被害者”というフレームだけで見るのが残念だった」とし、「ハルモニ一人ひとりの人生を紹介したかったが、ハルモニが生まれた誕生日はもっと意味があると思った。私たちの側に存在してくださることに感謝するという意味を込めて、広告の掲載を進めるようになった」と説明した。さらに、「市民たちがハルモニの誕生日の広告板を見て、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に掲載してくれるなど反応も良かったため、毎年行うつもりだ」とし、「スタートアップであるため、予算が少なく、様々なところに広告することはできないが、資金を確保できるレベルで行う」と話した。
SNSにもキムさんの誕生日を祝う広告看板を歓迎する書き込みが掲載された。1人メディアの「メディアモング」(@mediamongu)は、自分のツイッターに「地下鉄の広告板は芸能人の誕生日祝いばかりではありません。光化門駅、江南駅に日本軍『慰安婦』被害者ハルモニのキム・ボクドンさんの誕生日を祝う広告看板が登場しました」と伝えた。
マリモンドはキム・ボクドンさんを2017年の春「花のおばあさん」プロジェクトの主人公に選んだ。彼らは「キムさんが慰安婦被害者問題を解決するため、『我々が一緒なら、できないことはない』と話す姿を見て、他の花たちに先立って黙々と季節の到来を知らせる木蓮を思い出した」としたうえで、「人権運動家としてのキムさんに光を当てる予定」だと明らかにした。