国際アムネスティは韓国と北朝鮮を含む世界159カ国の人権状況をまとめた「2016/17年次人権報告書」を発表したと国際アムネスティ韓国支部が22日明らかにした。
国際アムネスティは、今回の報告書で韓国の人権状況と関連して、まず集会と表現の自由に対する権利制限を挙げた。国際アムネスティは「ペク・ナムギ農民事件は、誰も責任を負わないまま今も調査が遅れている反面、民衆総決起など多くの集会を共同主催したハン・サンギュン民主労総委員長には素早く有罪を宣告するという二重的な姿を見せた」と指摘した。また、韓国海軍が済州島(チェジュド)海軍基地建設に反対するデモを行った116人と5団体を対象に3億4千万ウォン(約3400万円)の損害賠償訴訟を起こしたことを批判した。この他に、テロ防止法国会通過▽政権による地上波放送と報道機関の報道に対する介入情況▽「自主統一と民主主義のためのコリア連帯」関係者に対する国家保安法違反疑惑拘束などを表現の自由侵害事例として挙げた。
企業の責務と関連しては、加湿器殺菌剤のために少なくとも95人が亡くなり、数百から数千名に及ぶ人が副作用を被ったことに対して「韓国政府の後続措置が遅れた」と指摘した。企業が政府から何の制裁も受けずに、法律専門家や私設警備業者を雇用して労組破壊活動を行ったとの批判もした。
100人を超える難民・庇護申請者を、仁川(インチョン)空港の送還控室の非人道的環境の中で抑留して、北朝鮮レストランの労働者を国家情報院が管理する施設で4カ月間拘禁した事実も、国家の反人権的な行動の一つとして言及した。400人あまりの良心的兵役拒否者を監獄に閉じ込めているのは国際法上の「恣意的拘禁」に該当すると批判した。
国際アムネスティ韓国支部のキム・ヒジン事務局長は「韓国政府は人権を保障する責務を後回しにして、強力な権威で政府に反対する人々の平和的な声を抑圧し統制した」として「大統領選挙を控えた韓国社会は、山積した人権問題を解決して前に進むのか、分裂の政治に退歩するかの岐路に立っている」と話した。
一方、北朝鮮内の人権状況を調査した北朝鮮報告書では、表現の自由と恣意的逮捕・拘禁、移動の自由と食糧権問題、移住労働者と人権などに注目した。北朝鮮政府は、内外国人にかかわりなく表現の自由に深刻な制限を加え、政府の斡旋で海外の職場を見つけた数千人あまりが苛酷な労働環境に露出し、韓国に入国した脱北住民の数は2015年より11%増加したと指摘した。国際アムネスティのアーノルド・ファン東アジア調査官は「北朝鮮の住民は表現の自由、通信の自由、移動の自由など依然として多くの人権を侵害され苦痛を受けている」と明らかにした。