民族問題研究所が『親日人名辞典』に載せた「朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の親日盟誓血書はねつ造されたものだと主張したカン・ヨンソク弁護士らの損害賠償が確定した。
大法院(最高裁)1部(主審キム・シン大法院判事)は31日、民族問題研究所がカン弁護士とチョン・ミホン元韓国放送(KBS)アナウンサー、「日刊ベスト」会員K氏を相手に提起した損害賠償請求訴訟で、カン弁護士は500万ウォン(約49万円)、チョン氏とK氏は300万ウォン(約29万円)を賠償しろと判決した原審を確定したと明らかにした。
民族問題研究所は2009年に発行した『親日人名辞典』に、1939年3月31日付の満州新聞記事を根拠に朴正煕元大統領が満州国軍官に志願し、血書を書いたという内容を載せた。当時、満州新聞は軍官に志願した朴元大統領が「一死以テ御奉公 朴正煕」という血書を書いた紙とともに「日本人として恥じざるだけの精神と気迫とを以て一死御奉公の固い決心です」などの内容が込められた手紙を送り、担当者を感動させたと報じた。
しかし、カン弁護士は2012年に講演会で「朴元大統領の血書は民族問題研究所の前身である歴史問題研究所が作った類い希なねつ造話」という趣旨の主張を繰り広げた。チョン元アナウンサーとK氏も2013年、ツイッターに「民族問題研究所が朴大統領血書関連記事をねつ造した」という趣旨の文を広めた。
しかし、1審、2審ともに満州新聞の血書記事はねつ造でないとし、カン弁護士らの損害賠償を認めた。1審は2015年10月「被告人の発言は多様な歴史的観点における論争と見るのは難しく、虚偽の事実をあたかも検証された事実であるかのように一方的に断言しているに過ぎず、表現の自由の限界を超えている」と明らかにした。2審も昨年10月「被告の表現行為は多様な歴史的観点から提起できる学問的領域で容認されうる水準を超えており、民族問題研究所の社会的価値と評価を低下させる表現」だとし「民族問題研究所が満州新聞の記事をねつ造したということは真実でない」と判断した。
一方、民族問題研究所はカン弁護士ら3人を名誉毀損の疑いでも告訴したが、検察は無嫌疑として不起訴処分を下した。ただし、民族問題研究所の裁定申請の末に、裁判所がチョン元アナウンサーへの公訴提起命令を下し、検察は昨年5月チョン元アナウンサーだけを起訴した。