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[インタビュー」「月城1号機の直ちに稼動停止すべき状態に驚いた」

登録:2017-02-09 05:22 修正:2017-02-09 08:00
国民訴訟裁判で重要証言したハ・ジョング原発専門家インタビュー 
「1号機、最新技術基準に従わず…福島のような重大事故に脆弱」 
カナダでは安全性規制基準100%満たさなければ、100%許可しない」
ハ・ジョング前カナダ原子力公社首席安全分析官=国民訴訟団提供//ハンギョレ新聞

 「月城(ウォルソン)1号機を寿命延長するためには、最新技術基準に沿って行わなければならないのに、(それが)まったく反映されていませんでした。福島のような重大事故に脆弱にならざる得ません」

 ソウル行政裁判所が7日、原子力安全委員会(原安委)の月城1号機使用の延長(継続運転)許可を取り消すべきだと判決したことに関連し技術的に革新的な証言をしたハ・ジョング元カナダ原子力公社(AECL)首席安全分析官(62)は、8日に行ったハンギョレの電話インタビューで「韓国が原子力分野で技術的にも自立し、発展のために多くの努力をした側面はあるが、月城1号機の寿命延長事業で韓国水力原子力(韓水原)は、諸々の規定を守らずに力押しで進めてきた」と声を高めた。

 機械工学を専攻したハ氏は、古里(コリ)・霊光(ヨングァン)原発と韓国原子力研究院で働いたのち、カナダ原子力公社で1年半の間、派遣勤務をした経験をもとに、月城2・3・4号機の許認可業務を総括した。2000年1月にカナダに渡り、カナダ原子力公社に入社した後、月城原発のような カナダ型重水炉(CANDU)6型のポイントルプロー原発の寿命延長事業にも参加した専門家である。2014年5月に引退し、今はカナダのオンタリオ州で住んでいる。

 ハ氏は先月4日、ソウル行政裁判所で国民訴訟原告団が原安委に対して提起した「月城1号機の寿命延長に向けた運営変更許可処分の無効確認」訴訟の12回目の裁判で、原告側証人として重要な証言を行った。7日、裁判所が判決文で「月城1号機の寿命延長に向けてはカナダ規制文書であるR-7等の最新技術基準によって、設備を改善しなければならないのに、韓国原子力安全技術院(KINS)が、月城1号機の安全性評価報を審査する際、最新技術基準を適用しておらず、原安委でも審議が行われなかった」と判示した内容は、同日のハ氏の証言を反映したものだ。ハ氏は、環境団体や市民団体に所属したことも、活動したこともない。彼は「国民訴訟団で証言を求められたため、(専門家として)証言しただけ」だと話した。国民訴訟団のキム・ヨンヒ弁護士から月城1号機関連資料を受け取った彼は「月城1号機は直ちに稼動を中断しなければならない状態だ。驚いた」と返答した。ハ氏は「月城1号機はカナダで設計して輸出した発電所だ。月城1号機の寿命を延長するためには、カナダの規制文書で示された要件や技術基準に従わなければならない。しかし、韓水原や韓国原子力安全技術院は、このような部分を全く反映していなかった」と指摘した。彼は「もし2審裁判が開かれ、再び証言を求められた場合は、証人として出席することを検討してみる」と話した。

韓国水力原子力が運営する月城原子力発電所1号機(慶尚北道慶州)が鉄条網の向こう側に見える=慶州/イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 ハ氏は、韓国水力原子力が、月城1号機の寿命延長前に5千億ウォン(約490億円)以上をかけて380本の圧力管を交換したことをめぐっても「順序が入れ替わっており、でたらめな措置」だと指摘した。「月城1号機は、カナダ型重水炉の原発を寿命延長するために適用することになっているRD-360という規制の要件に全く従っていなかった。圧力管を交換するには、規制要件に従って交換以前と交換後の状態を比較するギャップ分析(Gap Analysis)をしなければならないのに、行わなかった」

 ハ氏は特に4つの特殊安全系統に対する検討と改善が行われていないことに対する懸念を示した。特殊安全系統は格納容器、第1・2安全停止系統、非常用炉心冷却系統を指すが、地震や事故が起きた際、他の系統の部品・機器などが故障しても、この4つの特殊安全系統が作動していれば、被害を減らすことができるからだ。彼は「これらの特殊安全系統が作動しなければ、重大な事故につながる。例えば福島のようになるのだ」と話した。この4つの特殊安全系統に対する規制基準がR-7・8・9・10だ。ハ氏は「月城1号機のようにこれらの技術が部分的に適用されて規制基準を100%満たさない場合、カナダ原子力安全委員会なら100%運転を許可しなかったはず」と話した。

 ハ氏は、韓国水力原子力が提出した最終安全解釈報告書(FSAR)など書類の多くの部分が黒塗りされたことについても、理解できないという反応を見せた。韓水原はこれらの内容が営業秘密や国家安保と関連した事項だとして、書類の提出や公開を拒否した。彼は「月城2・3・4号機の最終安全解釈報告書は私の責任で作成したが、重要な営業秘密は含まれていない。国家機密といえるような内容もない。カナダ原子力公社で働く時、月城2・3・4号機の報告書が簡単に手に入るほどだった」と話した。

 一方、国民訴訟団は8日、裁判所の月城1号機の寿命延長許可の取り消し決定に伴う「月城1号機運営変更許可処分の効力(執行)停止」申請書を行政裁判所に提出したと明らかにした。裁判所がこの申請を認めると、月城1号機の稼動が中断される。

イ・グンヨン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/781858.html 韓国語原文入力:2017-02-08 18:30
訳H.J(2334字)

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