9月12日に起きた慶州(キョンジュ)地震で稼動が中止された月城(ウォルソン)原発1~4号機に対する再稼働が承認された。環境団体と地域住民たちは「地震計もないのに、再稼働が承認された」として反発した。
原子力安全委員会(原安委)は5日「地震に伴い手動停止した月城1~4号機に対する精密点検の結果、安全運転に影響がないことが確認されたため、再稼動を承認した」と発表した。原安委は主要施設・設備の損傷や漏えいの有無など、主に物理的な点検を行い異常がないことを確認したと明らかにした。また、原安委は慶州の本震と余震による影響は設計基準の範囲内であるうえ、福島原発事故以降、安全停止の維持系統の耐震補強が完了したことを確認し、承認の決定を下したと説明した。
しかし、環境運動連合などは「月城1号機の敷地に2年間、故障したまま放置されていた敷地地震計(自由地盤に設置された地震計)の移設が完了したかどうかも確認せず、再稼動を進めている」と指摘した。このことは原安委の「9・12慶州地震による月城原発1~4号機点検結果」報告書にも記載されている。報告書は「2014年9月、地震発生時に異常増幅が発見され使われていない月城1号機の自由地盤計測器を地質調査を通じて適切な場所に移動することを確定し、来年2月までにコンクリート構造物を設置するなど、移設過程での適切性を確認する予定」として、地震計がまだ移設されていないことをうかがわせた。
環境団体はまた、原子炉圧力管の安全余裕度が1%にも満たないという事実が明らかになったにもかかわらず、原安委が再検証を行うことなく、事業者である韓国水力原子力(韓水原)の主張をそのまま受け入れて承認したと批判した。月城原発と同一タイプの原子炉の「圧力管の応力分析報告書」( CANDU6デザインレポート)によると、月城原発は設計上、原子炉の圧力管は、0.2Gの地震(換算規模6.5)によって発生する力(応力)に耐えられる力(耐応力)の余裕が1%しかない。原安委は、点検結果報告書で「月城原発の圧力管は、福島原発事故に伴う後続措置として耐震補強の対象である安全停止の維持系統に含まれていない」としたうえで、「福島原発事故に伴う後続措置は圧力管の健全性に損傷があっても、安全停止及び維持ができるよう、補強する措置」だと明らかにした。環境団体は「これは、原発の核心設備で核分裂が起きる核燃料が入っている原子炉の圧力管は損傷されても、核分裂さえ中止されれば良いという意味」だとして、「自動車の安全性は保障できないが、ブレーキさえうまく作動すれば、問題がないというようなもの」だと批判した。
また、原安委報告書が「格納庫の総合漏えい率試験(ILRT)の結果が0.2416wt%/day(wt%:重量パーセント)で合格基準(0.375wt%/day)を満たしており、原子炉格納庫の機密性が健全に維持されていることを確認した」と述べたのに対し、環境団体は「漏えい率の合格基準が設計基準より高くなった理由を明らかにせず、地震のような外部衝撃によって格納庫に問題が起きていないかについて地震前後の測定値を公開していない」と指摘した。寿命延長をせずに閉鎖したカナダのジェントリー原発2号機の場合、格納庫の漏洩率が設計基準では0.1%だったにもかかわらず、時間が経つにつれ漏えい率が上昇したことが問題になったという。これに対して韓水原の関係者は「月城原発もジェントリーも漏えい率の基準は0.5%で、月城の場合、さらに厳格に基準を定めて運営している」と話した。