行政自治部が国民儀礼の方式に対する国家統制を強化し、今年から施行することにした事実が確認された。大統領訓令の改定により、公式行事や会議で殉国先烈・護国英霊以外に対する黙祷を禁止したのがその核心だ。
これにより、たとえばセウォル号惨事の犠牲者は事実上国家行事はもちろん一線学校での行事でも追悼しにくくなった。国民を統制し教えようとする国家主義的発想であるうえに、大統領の職務停止時に大統領訓令を改定施行することが妥当かという指摘も出ている。
行政自治部は「国民儀礼規定」を一部改定し今月1日付で施行に協力してほしいと全国の地方自治体に通知したことが4日確認された。国民儀礼規定は政府行事などでの国民儀礼の手続きと方法を内容とする大統領訓令(行政規則)で、2010年に初めて制定された。
今回の訓令改定の核心は黙祷の対象を厳格に制限し、愛国歌を事実上記念曲水準に規格化したことだ。政府は「殉国先烈と護国英霊に対する黙祷の方法」(第7条)を新設して「行事の主催者は行事の性格上不可避な場合を除き、殉国先烈と護国英霊以外に黙祷対象者を任意に追加することはできない」と釘を刺した。殉国先烈・護国英霊は独立有功者、戦歿軍警などが代表的である。しかし5・18などの民主化運動、済州4・3の犠牲者はもちろんセウォル号の犠牲者などは大部分含まれず、これまで関連行事でしばしばなされていた追加黙祷が国家により統制される状況になった。政府は地方自治体の公式行事の際にもこの訓令に従うよう政府が勧告できる根拠を今回新たに設けた。政府は非公式行事でも参席者が多い場合は国民儀礼を行ない、学校でもこの訓令が守られるように勧奨しなければならない。また「黙祷は正しい姿勢で目を瞑り頭を垂れて礼を表す」と、これまでなかった黙祷方式の具体化も行なった。「愛国歌は立った姿勢で力強く斉唱するが、メロディを変えてはならない」(第6条、愛国歌斉唱の方法)。これも新設条項だ。
行政自治部関係者は「特定の黙祷に反対する参席者があり得るので、国論分裂を防ごうという趣旨で改正した。国務会議などに報告された後、行事の性格に合った黙祷は追加が可能だ」として「大統領府との事前の論議はなかった。先月末に大統領権限代行の決裁を受けており手続上の問題はない」と言った。
しかし国家主義的発想だという批判が出ている。民族問題研究所のチョ・セヨル事務総長は「黙祷や愛国歌斉唱の方法まで強要する非常に危険な国家主義的態度だ」として「国家暴力の犠牲者に対する黙祷を阻もうとする不純な意図の改定だ」と批判した。独立記念館のキム・サムウン前館長は「大統領の権限停止状態で政府がこんなことをするのは“朴槿惠(パク・クネ)の妄想”から未だに覚めることができないでいるためだ」と指摘した。5・18記念財団のキム・ヤンネ常任理事は「殉国先烈と護国英霊も尊重するが、国家有功者に指定されて国立墓地に埋葬された“5月の英霊”も全く同じく大切な方たちだ。この方たちを認めないということか」と言った。地方自治体も反発している。光州(クァンジュ)市のある職員は「行事内容や地域の特性に合わせて5・18の犠牲者などを黙祷の対象に入れることはできてしかるべきだ。対象を政府が決めるという発想からして非民主的だ」と言った。去年済州道光復節記念式の際、4・3英霊に対する黙祷を行なった済州道は「国家行事では含まないことにしたが、自治体としての行事では4・3英霊に対する黙祷をする計画だ」と述べた。
韓国語原文入力: 2017-01-05 06:01