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「未婚の母も応援してほしい」…婚外出産無視する超少子化の国

登録:2016-12-25 23:31 修正:2016-12-26 21:07
22カ月の娘を育てる20代 
「冷たい社会の視線が残念」 
“子育て未婚母”2万4千人、昨年はじめて統計 
婚外出産の割合は1.9%…OECDで最低 
「超少子化国家」なのに支援政策が不足 
「雇用における差別禁止が必要」の指摘も
キム・ヨンウンさん(22・仮名)が退社後、未婚母子施設の救世軍ドゥリホーム内の共同育児部屋から22カ月の娘を連れて出てきている=女性家族部提供//ハンギョレ新聞社

 「よく見るフェイスブックのコミュニティで、ある男性会員が自分が『未婚の父』だと告白していました。『責任感がある』『応援する』などの激励の書き込みが集中しました。でも私はその方のように勇気を出すことができませんでした。未婚の父が一人で子どもを育てると言えば応援されますが、未婚の母の場合には『問題を起こした』という風に否定的に見られるのです」

 22カ月の娘を育てるキム・ヨンウンさん(22・仮名)は「子育て未婚母」だ。子育て未婚母は、未婚の母が子どもを授かった後、堕胎したり養子に出す代わりに自ら育てようとする人を区分するための用語だ。彼女は23日、ハンギョレとのインタビューで「未婚の母に対する冷たい社会の視線にがっかりする時が多い」と言い、「子どもが大きくなって学校に通うとき、いじめを受けることはないかと早くも心配になる」と話した。

 統計庁の昨年の人口総調査の結果によると、韓国国内で18歳以下の子どもを育てる未婚の母は2万4千人、未婚の父は1万1千人に上る。年齢別で見ると、未婚の母は35~39歳(19.4%)、未婚の父は40~44歳(22.6%)が最も多い。スミンさんのような24歳以下の未婚の母・未婚の父は2777人だ。未婚の母に対する公式統計が出たのは昨年の人口総調査が初めてだ。

 ヨンウンさんが妊娠を知ったのは2014年の春だった。両親との度重なる不和で高校卒業の頃に家を出た後、一人立ちを計画していたところだった。最初は一人で子どもを生んで育てられるだろうかと途方に暮れたが、赤ちゃんの心音を聞いてからは中絶の考えを完全に絶った。彼女は「絶対に子どもを育てなければならないという思い一つで、1日中インターネットを検索しながら支援を受けられる所に関する情報を収集した」とし、「ポータルサイトの知識共有サービスに掲載された未婚の母の施設の連絡先を見て、相談も受け入所待機の申し込みもした」と話した。周囲に適切な助けを求める先を探すことも難しかったが、養子の代わりに養育が中心である未婚の母の施設を探すのも容易ではなかったという。

 実際に多くの未婚の母らが中絶や養子縁組、育てるかどうかをめぐり思い悩むことになる。ほとんどが困難な経済状況のためが大きいが、未婚の母を「非正常」だと考える社会的雰囲気も影響が大きい。保健福祉部の資料によると、昨年海外養子縁組数は374人だが、このうち95.7%が未婚の母の子どもだ。超少子化時代でも韓国は婚外出産の割合(昨年1.9%)が経済協力開発機構(OECD)国家の中で最も低い水準だが、これは未婚の母を包容しようとする政策的配慮が不足しているからだという指摘が出ている。

未婚の母のキム・ヨンウンさんが家で娘に本を読んであげている=女性家族部提供//ハンギョレ新聞社

 現在、ヨンウンさんは未婚母子家族福祉施設「救世軍ドゥリホーム」に滞在している。救世軍ドゥリホームは、出産と産後の保養をサポートする基本生活施設(ドゥリホーム)と、共同育児部屋、共同生活家庭(ドゥリマウル)、経済的自立を助けるための売店などを備えている。ここで革工芸の資格証を取って工房で働くヨンウンさんは、来年7月に自立を準備している。

 救世軍ドゥリホームのヨ・ウンジャ事務局長は「2008年に未婚母家族が2年まで滞在できる『共同生活家庭』を作った後、育てることを決心した人たちが増えている」とし、「毎年救世軍ドゥリホームを訪れる未婚母200人のうち、大半が子どもを養子に出していたが、最近は90%が自分で育てることをを選択する」と伝えた。韓国に未婚母子家族の福祉施設は全部で59カ所あり、このうち子育て未婚母が2年ほど入所できる施設は38カ所だ。

 政府の「子育て未婚母」支援政策は特になく、片親家族支援政策に含まれる水準に止まる。韓国女性政策研究院のイ・ミジョン研究委員は「かつての政府の政策は主に未婚の妊産婦の産前産後管理をサポートする施設に焦点が当てられ、未婚の母が生んだ子を養子縁組で解決しようとする社会的な雰囲気も大きかった」とし、「未婚の母の自立をサポートするため、婚外妊娠を受け入れない職場の文化を改善するなどの求職および雇用において未婚の母に対する差別を禁止することが必要だ」と指摘した。

ファンボ・ヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/776000.html 韓国語原文入力:2016-12-25 14:57
訳M.C(2142字)

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