朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾審判事件の訴追を担当する国会が、弾劾可否の早期決定を求める世論にもかかわらず、なかなか動き出せずにいる。憲法裁判所の素早い対応に比べ、国会がかえって弾劾審判を遅らせる原因になりかねないという懸念の声もあがっている。
弾劾訴追案が国会を通過して4日目になる12日も、国会は代理人を選任できなかった。検事の役割を果たす訴追委員のクォン・ソンドン国会法制司法委員長は代理人を選任し、弾劾審判を遂行していかなければならない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領弾劾審判の際は、当時の訴追委員である金淇春(キム・ギチュン)法司委員長が、元最高裁判事や憲法裁裁判官、検察総長などで構成された61人の代理人を選任した。クォン・ソンドン議員は「代理人は10人程度を予想しており、法律を熟知しており、口頭弁論に長けている人でなければならない」として「考慮する事項が多く、まだ準備中」と明らかにした。しかし、共に民主党のパク・ボムゲ議員は「弾劾審判は弾劾を主導した野党と国民を中心に進めなければならないが、まだ代理人の選定問題を野党と協議したことがない」と指摘した。
このように国会の弾劾審理を放置するのは「職務遺棄」に近いという指摘もある。東国大学法学科のキム・サンギョム教授は「国会が弾劾審判の手続きを準備する際、憲法裁が早く決定できるように弁論戦略を立てなければならないが、弾劾訴追案の可決後は手をこまねいている」と批判した。憲法研究官出身のノ・ヒボム弁護士も「大統領側の審理遅延作戦を心配するよりも、訴追委員側が積極的に乗り出さない方がより大きな問題」だとし、「国会が提出した証拠だけでは不十分なので、早く代理人を選任し、捜査記録など関連資料の提出を積極的に要請すべきだ」と指摘した。
クォン議員はすべての弾劾事由について主張する構えを見せた。クォン議員は「選択と集中を行ってはならない」として、「憲法裁も選別審理はしないと明らかにしており、弾劾訴追の事由は国会の議決事項であるため、13の事由を公平かつ同等に進める」と述べた。盧武鉉元大統領の弾劾審判の過程に参加した検察関係者は「迅速な審理のためには国会の役割が重要だ」とし「訴追委員が、賄賂罪やセウォル号7時間など立証が困難な弾劾事由については証拠不足などを理由に憲法裁に選択と集中を要求できる。そうしなければ長引く可能性がある」と話した。
一方、憲法裁は同日も裁判官8人が参加する裁判官会議を開き、証拠調査手続きと方法について話し合った。憲法裁は弾劾審判の審理の保安を強化するため、最新の盗聴・傍受防止装置の設置も決定した。憲法裁に盗聴防止装置が初めて設置されたのは2004年、盧武鉉大統領の弾劾審判の時だ。弾劾審判に集中するために、憲法裁は来年1月に予定されていたアジア憲法裁判所連合の研究事務局による国際シンポジウムなど、すべての行事を見送ることにした。憲法裁は13日、準備手続きを担当する受命裁判官を指定し、早ければ来週にも当事者たちを呼んで準備手続期日を開くことにした。