大統領府がソウル市のチョ・ヒヨン教育委員長(60)に対する保守団体の告発と、これに伴う検警捜査に介入した情況があらわれた。また、大統領府は教育委員長の固有権限を制限する内容の施行令改正まで指示するなど、チョ教育長に対する全方位的圧迫を加えたとみられる。
ハンギョレが遺族の同意を得て入手した故キム・ヨンハン元大統領府民政首席の業務日誌(備忘録)によると、2014年8月6日付に「パク・ウォンスン市長関連農薬給食…チョ・ヒヨン保護情況…市民団体告発」との字句が記されている。業務日誌10月11日付には再び「農薬給食-チョ・ヒヨン教育委員長-捜査/選挙法違反の部分」という内容が出てくる。6・4地方選挙時に火がついた「農薬給食」論議で、チョ教育委員長は「学校給食の1次的責任者は地方自治団体長(パク・ウォンスンソウル市長)ではなく教育委員長(ムン・ヨンニンソウル市教育委員長)にある」と発言したことがあるが、このメモは市民団体の告発によるチョ教育委員長に対する選挙法違反捜査を大統領府が事前に知っていたか、または指示した可能性を示している。
実際、10月10日に保守団体の人々はチョ教育委員長を選挙当時コ・スンドク候補に対する虚偽事実流布など公職選挙法違反の疑いでソウル中央地検に1次告発状を提出し、3日後の10月14日に2次告発状を提出した。捜査に着手した警察は11月14日「嫌疑なし」意見で送検したが、検察は再捜査を経て12月3日に公訴時効満了の一日前にチョ教育長を在宅起訴した。1審で当選無効刑を受けたチョ教育長は、昨年9月の控訴審で宣告猶予を受けた。検察の上告で事件は大法院(最高裁)に係留中だ。
大統領府はソウル市教育庁の自律型私立高関連政策も鋭意注視していたとみられる。キム元首席秘書官の業務日誌に自律型私立高関連内容は計10回余りも登場する。教育庁の自律型私立高指定の取り消しが発表された10月31日付メモには「ソウル市-自律型私立高取り消し発表予定(6校)-校長団記者会見→争訟vs是正命令」と記されている。実際、教育庁の指定取り消し発表当日、教育部は是正命令と職権取り消しを下した。教育委員長の権限を制限する内容で施行令の改正を指示したこともある。11月22日付メモには「自律型私立高取り消し関連法制処有権解釈-司法府支持の有無は不確実。“令”など制度的に“同意”を明確にしておくように」と書かれている。2カ月後の2015年1月、教育部は教育委員長が自律型私立高(指定取り消し)を行う際は教育部長官の事前同意を受けるよう初中等教育法施行令を改正した。