「私に人生の意味をずっと自問させた本です」
1980年5月、10日間の5・18光州(クァンジュ)抗争を書いた「死を越え時代の闇を越え」の英語版翻訳者である在米アナリストのソル・ガプス氏(48・ニューヨーク)が25日、英文版の著作権を5・18記念財団に寄贈した。英文版はかつて99年に米国カリフォルニア州立大学(UCLA)でソル氏の原稿を受け、「光州日誌:死を越え時代の闇を越え」(光州日誌)というタイトルでアジア太平洋記録物シリーズの一つとして出版された。
「光州日誌」は5・18抗争の現場の状況を世界に知らせた唯一の公式の英文翻訳書だ。この本は米国の大学10カ所あまりで韓国学関連教材として使われた。世界的権威を持つニューヨークの書評専門誌「レビュー・オブ・ブックス」でも好評を受けた。しかし、2005年に絶版となった。
契約により2011年6月から著作権を持つことになったソル氏は、最近、5・18記念財団の要請に対し「喜んで『光州日誌』の著作権を寄贈する」と明らかにした。キム・ヤンレ財団常任理事は「これまで新たに明らかになった事実などを修正・補完し、来年5月に『光州日誌』の増補版を出す計画」だと話した。
ソル氏は大元外国語高校2年だった85年5月、「死を越え…」を初めて読んで大きな衝撃を受けた。外国語大学を卒業し米国に留学した彼は「90年代初めに中国の天安門抗争の関連本で、大学生たちが『光州抗争からインスピレーションを多く受けた』とあったので驚いた。その時まで5・18は米国社会に知られていなかった」と話した。彼は95年、時事月刊誌「マル」(言葉)で、「死を越え…」が当初知られていたように小説家のファン・ソクヨン氏が書いたものではないという記事を読んだ後、「主な執筆者」であるイ・ジェウィ博士(61)に連絡した。彼は友人のニック・マメタスと翻訳に着手し、1年で完了した。
しかし出版は容易ではなかった。内容があまりにも衝撃的であるため、米国の出版社の関係者は「虐殺は本当か」という質問をまず投げた。ソル氏は「朝鮮戦争の起源」の著者であるシカゴ大学のブルース・カミングス教授に「『死を越え…』が事実の記録であることを保証する手紙を書いて出版社に送ってほしい」と電子メールを通じてお願いした。ソル氏は「カミングス教授が『私の名前をかけてすべてが事実だ』という返答をしてくれた。カミングス教授が書いた英語版の序文には「韓国を全く知らない人も(光州抗争を)歴史的な脈絡から理解することができる」と書かれている。