22日、チェ・スンシル疑惑特別検事法が国務会議を通過し、朴槿恵(パク・クネ)大統領とチェ氏の国政壟断疑惑に対する検察捜査の"バトン"を、特検が受け継ぐことになった。これまで検察の捜査で明らかにならなかったか、手をつけられなかった朴大統領の賄賂容疑とウ・ビョンウ前民政首席の国政壟断幇助疑惑、「セウォル号事故当時の(空白の)7時間疑惑」に対する真相究明を行わうべきと指摘されている。
先月27日、ようやく特別捜査本部を設置した検察は、今月20日にチェ氏とアン・ジョンボム元政策調整首席秘書官、チョン・ホソン元付属秘書官を起訴する際に、朴大統領を被疑者として立件し、チェ氏らとの共謀関係を明確にするなどの成果をあげた。しかし、検察は朴大統領とチェ氏、アン元首席秘書官が共謀して企業からカネを集めた行為について、収賄容疑を適用できず、文書流出を除いてはチェ氏と朴大統領が具体的にどのように国政壟断行為をしたかを突き止められなかった。
早ければ来月初めにも任命が予想される特検は、特検法第2条1項から14項に列挙された具体的な捜査対象14件を中心に捜査を進めながら、別途認知した事件(15項)に対する捜査に乗り出す予定だ。
特検の捜査対象14件のうち、検察捜査を通じて真相が明らかになった部分は3~4件に過ぎず、それさえも完全ではない。大統領府の文書流出やミル・Kスポーツ財団に対する拠出金の強要、事業の受注を口実にした財団資金の流出、証拠隠滅の部分など一部の輪郭が明るみに出たが、具体的な対価性や漏洩された機密がどのように国政壟断に利用されたかなどは、全く解明されなかった。特検はまずこの部分を中心的な捜査対象にして捜査に乗り出すものとみられる。
ウ前首席の国政壟断に対する職務遺棄疑惑とチェ氏に対するサムスンと乗馬協会の支援、チェ氏の娘チョン・ユラ氏の梨花女子大学裏口入学疑惑などは現在、検察の捜査が進められており、公務員に対する不法人事措置やチェ氏一家の違法な財産形成、江南の美容整形外科医院長の海外進出疑惑などについては、検察がほとんど捜査していない、もしくは捜査対象にも含まれなかった内容だ。
捜査対象には含まれていないが、2014年4月、セウォル号事故当時の朴大統領の足取りを明らかにすることも、特検の捜査対象にするべきだという指摘が多い。法務法人「同人」のイ・グヮンチョル弁護士は「犯罪嫌疑の有無にかかわらず、国家機能が麻痺し、数百人が亡くなろうとしているときに、大統領はどのような役割をしたのかについて必ず調査する必要がある。今後任命される特検が政治力を発揮し、特検の捜査対象にしなければならない」と話した。2014年末、チョン・ユンフェ文書に対する検察の捜査が不十分であったことや、ウ前首席秘書官の介入疑惑、キム・ギチュン元秘書室長の国政壟断などの疑惑も特検捜査が行われるべき部分だ。
時間と人員が限られている特検が、膨大な捜査対象を十分に捜査するためには、何より大統領府の家宅捜索と朴大統領に対する直接調査が必要である。これに先立ち、検察は先月末と今月中旬の2回にわたって大統領府を家宅捜索したが、検察が要求する資料を大統領府がまとめて渡す任意提出方式で行われた。ある検察出身の弁護士は「朴大統領とチェ氏やアン・ジョンボム、チョン・ホソン氏らによる国政壟断は結局、大統領府の中で行われた。彼らの犯罪容疑を明らかにするためには、大統領府に対するきちんとした家宅捜索を行うべきだ」と指摘した。検察捜査を拒否する朴大統領が特検捜査には応じるとしているだけに、朴大統領に対しても徹底的に準備し国政壟断と企業資金の対価性を具体的に明らかにすべきだと指摘されている。