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[社説]朴大統領は果たして「大統領の資格」があるのか

登録:2016-10-26 01:38 修正:2016-10-26 07:17
朴槿恵大統領が25日午後、大統領府春秋館で「チェ・スンシルへの演説文事前流出」事件と関連し国民に対して謝罪記者会見を行う前に挨拶をしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 これを国だと言えるだろうか。「陰の実力者」チェ・スンシル氏が朴槿恵(パク・クネ)大統領の演説文や閣僚会議の発言など、国家機密を事前に「添削指導」したという事実が知られた後、国民の間で一斉に噴き出した嘆きだ。大統領の側近や親戚・姻戚らの不正腐敗は歴代政権でも少なくなかった。しかし、今回の事案はそれらとは次元が異なる猟奇的な事件だ。大統領秘書室のイ・ウォンジョン室長は21日、国会の国政監査で、チェ氏が大統領の演説文作成に関与した疑惑について「封建時代でもありえない話」と述べた。そうだ。いま大韓民国は21世紀の民主社会どころか、封建時代でもありえない恥ずべき国に転落してしまった。

 朴大統領は25日午後、国民に対する謝罪声明を発表した。しかし、その内容は謝罪ではなく言い訳だった。「チェ氏はかつて大変な時に手伝ってくれた縁で、一部の演説文など力を借りたことがあった」などと言い訳に終始した。事の深刻性について何の問題意識も、恥も見られない。チェ氏は大統領の演説文ばかりでなく、政府の各種政策書類、極秘の外交文書、人事ファイルにまで手に入れ弄んだ。イ・ソクス元特別監察官のメディアとのインタビューについて「国家の規律を揺るがす重大な違法行為」といきり立った朴大統領が、このような重大な事態の前では「何を皆そんなに大騒ぎしているのか」という態度なのであきれるばかりだ。

 朴大統領の謝罪声明で、今回の事態の根本原因がどこにあるかが一層明らかになった。国をこのような悲惨な状況に陥れた当事者は、他ならぬ朴大統領自身だった。朴大統領の意識の中には公私の区別自体が当初からなかった。国家の重要機密管理の重要性も、情報流出の危険性に対する認識もない。だからこのような事態に対する罪の意識もなく、恥も感じない。一言で言えば公職者の基本姿勢も備えていない大統領が、国家運営の総司令塔を務めているのが現在の大韓民国の現実だ。

 朴大統領はチェ氏の国政への関与が「大統領府の補佐体制の完備以降は中断された」と主張したが、これもやはり事実と違うことが明らかになっている。ミル財団のイ・ソンハン前事務総長の証言によると、チェ氏は最近までほぼ毎日大統領府から30センチの厚さの「大統領報告資料」を受け取って検討しており、この資料はチョン・ホソン第1付属室長が持ってきたという。チェ氏の国政独占が単純に演説文の添削程度ではなく、国政運営全般にわたって広範囲に行われたという意味だ。さらにイ氏は「チェ氏が朴大統領にああしろこうしろと言う仕組み」だと証言した。この国の権力序列1位は朴大統領ではなくチェ氏だという世間の疑惑が、ただの冗談ではなかったということだ。

 今回の事態に、朴大統領は事実上正常な職務遂行が不可能な状態になった。何の公職もない一般人が大統領の肩越しに国政に根掘り葉掘り干渉してきた国、側近の「門番」の権力者たちまで加勢した陰の実力者らの国政独占が日常化した現実でも「社会の混乱を加重させる根拠のない暴露発言」などととんでもない言葉ばかりを繰り返してきた人物がまさに朴大統領だ。そのような大統領が一体何を根拠に国民を相手に国家安保だの経済活性化だのと言えるだろうか。いま、国民は「朴大統領は果たして大統領の資格があるのか」という根本的な問いを投げかけている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/767271.html 韓国語原文入力:2016-10-25 18:56
訳M.C(1600字)

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