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韓国裁判所、ロッテグループ会長に対する逮捕状請求を棄却

登録:2016-09-30 03:36 修正:2016-09-30 08:15
検察、法理の争いで棄却されたようだ 
検察、「再請求するか否かはまだ決まっていない」
ロッテグループの辛東彬会長が20日、ソウル市瑞草洞のソウル中央地検で検察の調査を受ける前に記者団の質問に答えている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 「現在までの捜査の進行内容と経過、主要犯罪容疑に対する法理上の争いの余地などを考慮する際、拘束の事由と必要性、相当性は認め難い」。裁判所は今月29日未明、辛東彬(<シン・ドンビン>重光昭夫)ロッテグループ会長(61)の逮捕状請求を棄却し、理由をこのように明らかにした。検察は、辛会長に適用された1750億ウォン(約161億1400万円)の横領、背任容疑の金額が歴代財閥捜査で最も大きな金額であるとして、事案の重大性を強調したが、裁判所は検察の主張を受け入れなかった。

 検察が辛会長に適用した容疑は大きく分けて2つだ。第一に辛東彬会長が、実兄の辛東主(<シン・ドンジュ>重光宏之)前日本ロッテホールディングス副会長や辛格浩(<シン・ギョクホ>重光武雄)総括会長と事実婚の関係にあるソ・ミギョン氏(57、在宅起訴)、彼女の娘シン・ユミ氏(33)の3人の給与500億ウォン(約46億2千万円)を横領する過程で主導的な役割をした疑いだ。これに対し、辛東彬会長は2011年2月、ロッテグループ会長になったが、実質的な意思決定は辛格浩総括会長が行ったと反論した。イ・インウォン前ロッテグループ副会長も、遺書に「2015年初めまで、全ての決定は辛格浩総括会長が行った」と書き残している。

 検察はこれについて、「ロッテの主要意思決定は、辛東彬会長と辛格浩総括会長の相談によって行われた。したがって、辛東彬会長が不法行為を防ごうとしたなら、十分に防げた。政策本部の関係者も大半が二人に共同で指示され、具体的な実行については辛格浩総括会長より辛東彬会長に指示されたと供述した」と明らかにした。しかし、裁判所は、辛東彬会長に対する令状を発付するには、検察側の説明が十分でないと判断した。法曹界関係者は「裁判所は、辛東彬会長が主な意思決定過程でどのような役割を果たしたのかについて、争いの余地があると見たようだ」と話した。

 辛東彬会長はまた、2005~2013年ソ・ミギョン氏とシン・ヨンジャ・ロッテ奨学財団理事長(74、拘束起訴)に、ロッテシネマ内の売店の独占運営権を与え、770億ウォン(約711億1500万円)台の収益を提供したという容疑について、「公正取引委員会がこの部分を問題視し、私がロッテシネマ売店事業をすべて直営に転換させた」として、関連資料を提出したとされる。2009∼2010年ロッデPSネットの有償増資に、他の系列会社を動員して480億ウォン(約44億4千万円)台の損害を与えた容疑に対しても、会社が今後十分に収益を出せるだけに、有償増資に対する支援指示は経営上の判断だと主張した。裁判所はこの容疑についても法理上の争いの余地があると見た。

 検察内外では、今年6月に始まったロッテ捜査の頂点といえる辛東彬会長の逮捕状請求が棄却されたことで、捜査に大きな支障をきたさざるを得ないと見ている。ロッテ建設の300億ウォン(約27億7千万円)台の裏金を発見したのが事実上全てであり、それすらも使途が把握できず、辛東彬会長の犯罪事実からは除外された。

 検察は29日、辛東彬会長の逮捕状請求棄却に遺憾を示し、再請求を検討すると明らかにした。検察関係者は「今回の決定には大手企業への捜査で行われていた逮捕状請求の慣行とかなり異なる点がある。会社を犠牲にオーナー一家が私益を追求したことが客観的に明らかになっても、トップは責任を免れうるという認識を植えつけかねない。供述と文書をもとに辛東彬会長の主張を弾劾したにもかかわらず、裁判所が辛東彬会長の言い訳を認めたのは納得し難い」と主張した。

 ロッテグループの役職員は、クループトップの拘束事態を免れて、安堵する雰囲気だ。ロッテグループは「裁判所の決定を尊重する」として、「一日も早く経営活動を正常化し、顧客と協力会社役職員の被害を最小化すると共に、検察捜査によって萎縮した投資など、中長期課題を積極的に解決していく」と明らかにした。辛東彬会長は同日午後1時30分にソウル小公洞(ソゴンドン)のロッテグループ執務室に出勤したという。

ソ・ヨンジ、イ・ジョンヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-09-29 17:40

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/763395.html 訳H.J

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