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ペク・ナムギ氏の解剖に固執する警察、「イルベ」の主張に従うのか

登録:2016-09-28 00:19 修正:2016-09-28 07:21
ペク・ナムギ対策委員会が26日午後、ソウル市鐘路区のソウル大病院葬儀場前で開いた「農民ペク・ナムギ氏に関する状況および立場表明記者会見」で、長女のペク・トラジ氏が発言している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「農民ペク・ナムギ氏の死因が警察の放水による脳出血だということは、医学的に見て論争の対象ではありません。これを論争事案であるように追い込むことに対し、医師として怒りを覚えます」

 人道主義実践医師協議会のウ・ソクキュン代表は27日、ペク・ナムギ氏が安置されたソウル大学病院の葬儀場前で開かれた記者会見で、解剖検査の令状再請求に対し憤りをあらわにした。ペク氏が警察の放水銃に撃たれ倒れた後、316日後に死亡するまで、死因が「放水銃」であることに異論を挟む余地はなかった。ところが死亡直後、警察が遺体解剖のための押収捜索検証令状を申請し、ペク氏の死因が論争の対象となった。裁判所が令状を棄却した後、警察が再申請すると議論が拡散し、警察が解剖に固執する理由に対する疑念はさらに深まった。

 裁判所は再請求された解剖検査令状に対し、異例に追加資料の提出を要求した。ソウル中央地裁のソン・チャンホ裁判官は、警察と検察に送った公文書で「現在の状態で解剖の押収捜索検証を請求する理由をより具体的かつ明確に説明することを望む」と書いた。すでに明らかになった基礎的な事実関係と316日間のソウル大学病院の医務記録で、ペク氏の死亡原因を確認できるにもかかわらず、あえて解剖しようとする理由が何なのか明らかにせよという意味だ。

 特に裁判所は、解剖しようとする主な理由が「従来提起された『放水車による衝撃』など『直接的な』因果関係を明確にするためなのか、それとも第3者による外的な力による衝撃が死亡の因果関係に影響を与えたことを明らかにするためなのか、明確にせよ」と要求した。警察がどのような意図でペク氏の遺体を解剖しようとしているのかに対し、裁判所も疑問を抱いているということだ。警察の高位関係者は前日、「(映像)画面で確認すると放水銃に撃たれて倒れたようではあるが、頭に生じた外傷が放水銃を直接受けたためなのか、倒れて地面に打ちつけたためなのか、あるいは他の原因があるのかなどを明確に調べるためには、解剖してみなければならない」と話した。極右オンラインコミュニティーの「イルベ」では、「放水銃に撃たれて倒れた瞬間、赤いレインコートを着た男性がペク氏にのしかかって殴った」という主張が提起され続けてきた。これに対し警察は「死因の究明を明確にするために解剖を申請したのであり、それ以上でも以下でもない」とし、「放水車によるものなのか赤いレインコートの男性によるものなのかは捜査を通じて明らかになる部分」と話した。

 人道主義実践医師協議会所属の医師らと民主社会のための弁護士会所属の弁護士らは、この日開かれた記者会見で「どんな可能性を念頭に置くとしても、ペク・ナムギ氏に対する解剖は不要であり不当だ」と指摘した。チョ・ヨンソン弁護士は「解剖を通じて明らかにしようとしているのが犯罪事実の因果関係ではなく、被疑者である警察の免責事由のように見える」とし、「解剖によりどんな結果が出たとしても、警察の放水銃がペク・ナムギ氏を死に至らしめたという殺人罪の容疑が変わることはない」と指摘した。共に民主党、国民の党、正義党の野党3党もこの日共同記者会見を開き、「解剖の不当性は明白」とし、「警察は執拗に要求する解剖の理由をまず解剖せよ」と主張した。野党3党は「真相究明のための特検を積極的に検討する」と明らかにした。

 一方、警察がペク・ナムギ氏に対する追悼を組織的に妨害しようとしたという情況が現れた。共に民主党のピョ・チャンウォン議員らが公開した警察庁の内部文書によると、警察はペク氏が死亡した25日、「公共の場所に焼香所を設置する試みが予想される」とし、「管轄行政庁や管理者に内容を事前告知し対応するように措置」、「公共の敷地は管理主体が事前に制止するようにせよ」などの内容の業務連絡を送った。警察は「追悼の過程で不必要な摩擦がないように措置をしたものだが、文言に誤解の素地があった」と釈明した。

ホ・スン、キム・ジフン、ソン・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/763032.html 韓国語原文入力:2016-09-27 21:59
訳M.C(1848字)

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