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セウォル号事故当時「エアポケットへの空気注入は効果なかった」聴聞会で公開

登録:2016-09-02 01:22 修正:2016-09-02 07:36
セウォル号第3回聴聞会初日 
海洋大研究チームがシミュレーション結果を発表 沈没3日目から3日間注入 
当時、客室側に「エアポケット」はなかった 
オンディンのキム・ユンサン代表 
「沈没させないようクレーン設置提案したが、政府が拒否」
1日午前、ソウル麻浦区東橋洞の延世大学金大中図書館で開かれたセウォル号特別調査委員会第3回聴聞会で、メディア規制やセウォル号事件の報道の問題の第6セッションに証人として出席した韓国放送のキム・シゴン元報道局長(右)が証人宣誓を行っている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国放送(KBS)のキム・シゴン元報道局長は1日に開かれた4・16セウォル号惨事特別調査委員会(特調委)第3回聴聞会に証人として出席し、セウォル号事件の際、キル・ファンヨン社長(当時)の報道介入行動を追加暴露した。キム元局長は、キル元社長が「VIP」(大統領を指す)に関連する内容は、ニュース時間の最初の方で報道するよう注文するなど、日常的に報道と編成に介入したと主張した。キム元局長は、セウォル号事件直後の2014年4月17日と4月23日、キル元社長が朴槿恵(パククネ)大統領に関連する内容の報道の順番に介入した携帯メッセージを公開し、「キル元社長が『キューシート』をファックスで送るよう要求し、平日にはファックスで、週末や社長が出張中には携帯電話でキューシートを写真に撮り携帯メッセージで送った」と話した。

 この日の聴聞会では、セウォル号事件直後、行方不明者の救助過程で行われた「エアポケット」(沈没した船舶内に残っている空気層)への空気注入には効果がなかったというシミュレーション結果も公開された。政府が空気の注入にこだわったために、結果的に救助時間を浪費したという指摘が提起された。特調委の依頼で事故直後のセウォル号の状況をシミュレーションした韓国海洋大学研究チームは「シミュレーションの結果、船体に空気を注入した当時、セウォル号の客室側にはエアポケットがなかったと考えられる。空気を入れたとしても天井に少し入る程度だっただろう」と明らかにした。また、空気注入用に投入されたコンプレッサーは石を削る用途の小型のものである上、船体につないだホースの太さもたった19ミリであり、実効性がなかったことが分かった。海洋警察はセウォル号沈没から3日目にエアポケットの存在を前提に4時間空気注入を試みたが、セウォル号は最後には水面下に沈んだ。

 証人として出席したオンディンのキム・ユンサン代表は「清海鎮(チョンヘジン)海運と災難状況時に貨物を救出する救難契約を結んだが、政府は救助作業の空気注入を指示した」、「クレーン設置などを提案したが、政府は受け入れなかった」と証言した。特調委のパク・ジョンウン常任委員は「救助救難のゴールデンタイムに政府が実施したエアポケット空気注入は、小型コンプレッサーと工業用オイルを使用しており、セウォル号の図面もなしに進められた」とし、「捜索失敗に対する非難を避けるための詐欺行為に近い」と主張した。パク委員は「実効性のない空気注入の代わりに、当時事故海域に到着していた3600トン級のクレーン2台を利用して、セウォル号が完全に沈没しないように船体を支えるなり、流速測定器を設置すべきだった」と指摘した。この日の聴聞会では、セウォル号事件当時の船体内の状況を把握できる映像記録装置(DVR)を事故から2カ月後に政府が密かに回収したという疑惑と、セウォル号事件に対する国民の関心をかわすためにユ・ビョンオン関連報道を拡散させたという疑惑も同時に提起された。

 この日の聴聞会場には、特調委が出席を求めた重要な証人の大半が出席しなかった。特調委は、大統領府のキム・ギチュン元秘書室長とセヌリ党のイ・ジョンヒョン代表(当時大統領府広報首席)など証人39人と、女性家族部のチョ・ユンソン前長官など参考人29人に出席要求書を送った。特調委のイ・ソクテ委員長は聴聞会の開会に先立ち、「聴聞会の証人に採択された前・現職の公務員らは大半が出席しないものと予想されるが、動画と音声資料などを通じて、貴重な真実のかけらを突き止めたい。惨事の真実を見守ってほしい」と呼びかけた。聴聞会2日目の2日には、セウォル号の船体引き揚げプロセスの問題点、海洋警察の周波数共用通信(TRS)に関する検察の不良捜査などがテーマとして扱われる予定だ。

キム・ミヨン、パク・スジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2016-09-01 22:11

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/759610.html 訳M.C

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