登録 : 2016.08.22 00:45 修正 : 2016.08.22 07:13

追悼施設の造成まで安山教育庁別館に保存 
遺族たち、遺品の移送見ながら涙流し嗚咽

セウォル号事故で犠牲となった安山市檀園高校の生徒や教師たちが使用していた「記憶の教室」の移転作業が行われた20日午後、京畿道安山市檀園区の檀園高2年2組の教室に未救出者のホ・ダユンさんの机のだけが残っている=安山/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 「私の娘、息子でいてくれてありがとう」

 セウォル号沈没事故で犠牲になった安山(アンさん)市檀園(ダンウォン)高校の生徒たちが使用していた「記憶の教室(存置教室)」の臨時移転作業が、20日昼始められた。セウォル号事故からじつに858日ぶりだ。セウォル号事故後も子どもたちの痕跡がそのまま残されていた教室も明け渡すことになった遺族は堪えていた涙がついにあふれ、あちこちで嗚咽した。

記憶の教室が移転した20日午後、檀園高2年5組の教室で母親が子どもの遺品箱の前にうずくまり涙を流している=ホン・ヨンドク記者//ハンギョレ新聞社

 20日昼、檀園高2年1組の生徒たちの遺品が入った箱が遺族やボランティア、市民などの手で檀園高1階ロビーに移され始めた。犠牲となった教師や生徒たちの遺品が移される間、各クラスでは遺族が子どもたちとの最後の挨拶を交わしながら涙を流した。

 2年5組の教室で、キム・ゴンウ君の遺族は遺品を手に抱え、とめどなく流れる涙を無言でぬぐった。教室の後ろで子どもの遺品箱をなでていた母親は、座り込んで壁に寄りかかったまま「うう…」と嗚咽をもらした。メディア各社の取材が続くと、遺族は「子どもたちと最後のあいさつを交わしたい」と教室のドアを閉めた。

セウォル号事故で犠牲となった檀園高の生徒や教師たちが使用していた「記憶の教室」の移転作業が行われた20日午後、京畿道安山市檀園区の檀園高でボランティアたちが生徒の遺品を詰めた箱を移送している=安山/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 教室で梱包された遺品がつぎつぎと1階ロビーに移されると、天道教、プロテスタント、カトリック、仏教、円仏教など韓国内の宗教団体関係者らが出席するなか、宗教儀式が行われた。宗教者たちは子どもたちを最後まで守ることができなかった社会や大人たちに対する自責と、遺族や犠牲になった生徒たちに対する慰労、そしてセウォル号の早急な引き揚げと真実究明を祈願した。

セウォル号事故で犠牲となった檀園高の生徒と教師たちが使用していた「記憶の教室」の移転作業が行われた20日午後、京畿道安山市檀園区の檀園高で遺族らが教室から移された生徒たちの遺品を詰めた箱を眺めている=安山/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 今回移されたものは犠牲となった教師や生徒たちの遺品のほか各種物品であり、生徒用机358個、生徒用椅子363個、背の高い机26個、教務室の椅子11個、教卓10個、教務室の机12個などだ。追悼施設の仮称「416の安全教育施設」が建てられるまで、学校から1.3キロ離れた安山教育支援庁の別館に臨時に保管される。初日のこの日は、午後3時から1回目に檀園高2年1組から6組までの生徒と教師たちの個人遺品と物品が移された。檀園高のキム・インジョン行政室長は「2回目は今晩8~9時頃、7~10組の生徒と教師たちの遺品や物品を移し、21日には黒板、掲示板、ロッカーなどの物品を移す予定だ」と話した。

 この日、犠牲者の遺品移送には遺族のほかにも安山地域住民や演劇者約80人など、500人あまりの市民が参加した。演劇者マ・グァンヒョン氏(34)は「安山ストリート・パフォーマンス・フェスティバルを通じて安山に縁のある多くの演劇者や芸術家たちが自発的に犠牲となった生徒たちの遺品の移送に参加した」と話した。彼らは白いTシャツを着て移送に参加した。

セウォル号事故で犠牲となった檀園高の生徒と教師たちが使用していた「記憶の教室」の移転作業が行われた20日午後、京畿道安山市檀園区の檀園高で在学生徒たちが学校から運ばれる犠牲生徒の遺品を見送っている=安山/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、記憶の教室の移転作業は順調ではなかった。

 同日午前9時に開始予定だった移送作業は正午にようやく始まった。416家族協議会が記憶の教室の移転に関し「京畿道教育庁が安山教育支援庁別館の『416記憶学校運営』計画案はおろか、予算も全く確保していないうえ、犠牲となった生徒たちの遺品を臨時保存するスペースも不足していることへの対策を用意せよ」と要求したためだ。

 これにより同日午前、京畿道のイ・ジェジョン教育監と416家族協議会のチョン・ミョンソン委員長、韓国宗教者平和会議事務総長のキム・グァンジュン神父らが出席し、遺族が提起した問題を協議した。チョン委員長は「移送手続きは約束通り履行し、現在提起されている問題は京畿道教育庁と遺族の実務協議を通じて解決していくこととした」と話した。

セウォル号事故で犠牲となった檀園高の生徒と教師たちが使用していた「記憶の教室」の移転作業が行われた20日午後、京畿道安山市檀園区の檀園高で遺族とボランティアたちが生徒たちの遺品を持って校門から出ている=安山/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 また、犠牲となった生徒たちの遺品を安山教育支援庁に移す過程で「(子どもたちを)荷物扱いするのか」との遺族の反発が続いたため、車に物品を積む作業がしばらく遅延されるなどの悶着も続いた。

 この日、犠牲となった生徒の遺品を安山教育支援庁別館に移すことを拒否したある母親は、子どもの遺品を直接家に持ち帰った。母親は「教育庁の別館に子どもの遺品を荷物のように移したくなかった。遺品は家に運び臨時に保存するつもりだが、机や椅子は学校の備品なので持っていけないとのことだ」と話した。

 また、犠牲となった生徒の遺族7人も子どもたちの物品を安山教育支援庁の別館に移すことを最後まで拒否した。この生徒たちの遺品は、まだ見つかっていない生徒4人の遺品とともに別途学校に収集し保管する予定だと伝えられた。

 「4・16連帯」のパク・レグン常任運営委員は「遺族としては追い出されるという思いだ。(遺品が)すぐに移転されるのでもなく、2~3年後に仮の安全施設が作られたときに移すというものであるうえに、これまで(真相究明もセウォル号引き揚げも)成されたものは何もない。教室だけは守り抜きたかったが、残された生徒たちのために教室を明け渡す遺族たちに、政府や教育当局が最後まであまりに大きな傷を与えるようで残念だ」と話した。

安山/文:ホン・ヨンドク記者、写真:キム・ミョンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2016-08-20 18:26

http://www.hani.co.kr/arti/society/area/757599.html 訳M.C

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