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記録的猛暑の1994年より、今年が暑く感じられる理由は

登録:2016-08-22 00:37 修正:2016-08-22 15:47
今年の殺人的猛暑の主犯は 
「常連」の北太平洋高気圧の他に 
中国で勢力を発達させた「熱的高気圧」 

1994年の猛暑の記録は「越えられない壁」だが 
今年がより暑いのは「冷房度日累積」のため 
台風のない蒸し暑さも体感指数高める 

 猛暑日数も熱帯夜も、1994年より少ない。ところが人々は今年は暑いとわめいている。科学的数値と体感度の違いはどこから来るのか。

 全国気象観測地点93カ所で記録された7月と8月の日中最高気温の月別極値(最も高い値)の1~5位の中で、1994年の記録では全体465のうち213に上る。今の時点で見れば半数近くがその年に記録を更新したように見えるが、現在の順位で94年以前の記録が特に残っていない点を考慮すると、ほぼすべての記録がその年に更新されたということだ。全国平均猛暑日数31.1日、熱帯夜日数14.4日の記録が1994年夏に立てられた。

1994年と比べると今年はもっと暑さを感じるような要素がより多かった。先月31日午後、ソウル市永登浦(ヨンドゥンポ)区汝矣島(ヨイド)公園の前で市民が横断歩道を渡っている=キム・ソングヮン記者//ハンギョレ新聞社

熱い空気にサンドイッチされた朝鮮半島

 「最悪の暑さ」といわれる今年はどうだろうか。1994年には到底及ばず、17日現在では102の記録を塗り替えるのにとどまった。ところが、7月と8月を分けてみると興味深い点が目立つ。1994年には7月に205の記録を更新した一方、8月に更新さた記録は8つにとどまった。今年は8月に86を更新したためはるかに多いが、7月末頃の記録も16に上る。国立災害安全研究院は昨年、1994年のような7月の猛暑と8月の酷暑が重なると「猛暑貯蓄」がやって来、熱中病患者や死亡者が急増する恐れがあるというシミュレーション結果を発表した。今年の猛暑は災害研究院が懸念した最悪の状況に近い様相を見せた。

 2016年の猛暑は、指標上では1994年を超えていない。ソウル基準で7月1日から8月20日まで、1日の平均気温(1994年=28.7度 対 2016年=27.6度)、1日の最高気温(32.8度 対 31.6度)、1日の最低気温(25.5度 対 24.4度)、1日最高気温最高(38.4度 対 36.6度)、日最低気温最高(28.8度 対 27.3度)など、94年はすべての値が今年よりも大きかった。今年の猛暑日数は8月20日現在21日であり、94年の28日より7日少なく、熱帯夜日数も21日現在29日で94年の36日より7日少ない。猛暑継続日数は14日対11日、熱帯夜継続日数も24日対14日で、94年の状況の方がずっと悪かった。それでもなぜ今年はより暑く感じるのだろうか。

1994年と2016年の猛暑模式図//ハンギョレ新聞社

 まず、1994年の猛暑には北太平洋高気圧だけが作用したが、今年は北太平洋高気圧に加え大陸の熱的高気圧という2つのエンジンが同時に稼動したことが原因に挙げられる。北太平洋高気圧は米国ハワイ東北の太平洋中緯度付近を中心とした高温多湿な海洋性熱帯気団(mt)だ。赤道で加熱され上昇した空気が亜熱帯の海地域に降りて気圧が高まり、高気圧が形成される。 夏に勢力が拡張され韓国の方に接近すると、端に沿って梅雨前線が形成され、7月末頃に朝鮮半島を完全に覆い、梅雨が明けて猛暑が始まる。94年には北太平洋高気圧が早く発達し梅雨が早く終わったうえ、台風6号「バネッサ」が北上し中国華北地方で消滅し、暖かい空気を押し上げる効果も重なり異常高温現象が現れた。北太平洋高気圧の中心は平年には北緯30~35度付近にとどまるが、この年は朝鮮半島中心部の北緯40度付近で長い間とぐろを巻いていた。

ソウルの暑さ指標比較//ハンギョレ新聞社

 今年は北太平洋高気圧が異なる経路を見せた。7月末に東西に長く拡大し、中国北部地方にわたり停滞前線が北京の近くでとどまりながら、1日の間の年降水量の70~80%に達する驚異的な暴雨を降らせた。このような状況は、北太平洋高気圧の影響下に入った中国東北部地方が、日射により平年より5度熱される効果をもたらした。加熱された空気は上昇しながら、大陸の熱的高気圧(cT・大陸性熱帯気団)を強化する結果となった。普段この高気圧は揚子江流域にとどまる小ささで韓国に大きな影響を及ぼすことはなかったが、今年は5キロ以上の上空に達する背の高い高気圧に発達した。この熱い高気圧が北上し、さらに勢力を強めた状態で東進し、8月上旬から韓国の上空に熱い空気を吹き込んだ。さらにベーリング海からカムチャツカ半島までブロッキング高気圧が定着し、熱的高気圧がこれ以上東に動くことができず、猛暑期間が増えている。気象庁のキム・ヨンジン報道官は「朝鮮半島の上層ではこの熱的高気圧が高温で乾燥した空気を、下層では北太平洋高気圧が高温多湿な空気を絶え間なく供給し、「眠れぬ夜」を作り出した」と説明した。

8月の冷房度日、94年より高く

ソウルの日別冷房土日比較 //ハンギョレ新聞社

 冷房度日(Cooling Degree Day)も今年の猛暑が1994年と異なって感じられる違いの端緒を与えている。冷房度日とは、建物を冷房するのに必要なエネルギー需要を反映するための指標であり、特定期間の基準温度と外部気温(1日平均気温)の間の温度差の合計をいう。基準温度は快適な状態を維持するため冷房装置を稼動する必要がない気温だ。国や目的によって異なるが、通常24度を基準としている。94年と今年の7月・8月の月別冷房度日を求めたところ、7月は142.4度日対80度日と、94年がはるかに高い一方、8月は97.1度日対114.1度日と今年の方が高く出ている。特に、日付別の冷房度日を見ると、94年には値が大きく落ちる時がときどき見られるが、今年はほぼ一定の水準が維持され、特に8月に入ってはかなり高い値が継続したことがわかる。

 実際に94年には7月26日から台風7号「ウォルト」の影響で猛暑が一時終了し、8月に入っても台風11号「ブレンダン」(7月31日)、13号「ダグ」(8月9日)、14号「エリー」(8月15日)の直接・間接的な影響で、猛暑の行進が一時的に途絶えた。 一方、今年は高温で乾燥した大陸熱的高気圧の影響で、猛暑が発生して雲さえまともに形成されない猛暑が継続的に続いた。「孝行台風」も一度も来なかった。今年の平均湿度(70.0%)が94年(77.5%)に比べて低く、蒸し暑さが少なかったのはそれでも幸いであった。

 ソウル大学予防医学科のシン・ジョンファン教授は「暑さをひどく感じるのは熱ストレスが体に累積されるため。今年は熱中病患者だけでなく気力が落ちた年配患者が増えたのは猛暑疲労の累積期間が長くなったためのようだ」と話した。2003年に約1万5千人の死亡者を発生させたフランスの猛暑を研究した結果によると、暑い日が連続で続く場合、後半になるほど熱関連の患者がさらに多くなる。疾病管理本部の温熱疾患監視体系の報告によれば、7月最後の週には熱中患者が268人発生したが、8月第1週には337人、第2週には547人と急増する様相が現れている。

イ・グンヨン専任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2016-08-21 19:11

https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/757694.html  訳M.C

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