国防部が4日、在韓米軍に配備される迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)のレーダーが探知した情報を日本に伝えることは可能と明らかにした。THAADが米国主導の韓米日3国間ミサイル防衛(MD)システムではないかという疑惑と批判が再び強まるものと見られる。
国防部のムン・サンギュン報道官はこの日、定例ブリーフィングで「日本側から要請があればTHAAD(レーダーが探知した)情報も共有する余地があるか」との問いに対し、「それは韓米日情報共有約定の範囲内で可能と判断される」と明らかにした。ムン報道官は「韓米日間の情報共有約定によって、北朝鮮の核・ミサイル関連情報については米国を経由して(日本が)情報を共有することになっていて、そうした手続きが現在進行されている」と話した。
韓米日3国は2014年12月に情報共有約定を締結し、北朝鮮の核・ミサイル情報をリアルタイムで共有できる制度的枠組みを用意してきており、これに伴い今年6月に韓米日3国は初めてミサイル情報共有訓練も実施した。ムン報道官のこの日の発言は、3国間情報共有約定により韓国に配備されるTHAADレーダーが探知する北朝鮮のミサイル情報が日本に伝わることが可能という意味だ。
だが、この発言は、在韓米軍に配備されるTHAADの情報は日本と共有しないとしたハン・ミング国防部長官の国会答弁に反する。ハン長官は7月19日、国会本会議の緊急懸案質問で「THAADレーダーの情報を日本と共有するのか」と問われ「それはしない。THAADレーダーは迎撃用標的なので、自分の担当地域で敵ミサイルをどこで迎撃するかを決める機能を果たす。情報が日本へ行くことには意味がない」と否定していた。当時のハン長官の発言は、THAAD配備で韓国が米国主導のミサイル防衛システムに編入されるのではないかという疑いに対する反論の過程で出た。ハン長官は当時「THAADは朝鮮半島内における韓国防衛のためのシステムであり、米国の地域MDと関連しないよう情報共有をしないようになっている」とも説明した。
こうした事情があるため、ムン報道官の「THAADレーダ情報の日本との共有可能」発言により、THAADが米国MDシステムの一部門という疑惑が再び提起される見込みだ。韓国軍と在韓米軍のミサイル防衛は、今年末までに連動しリアルタイム情報共有システムを備える予定だ。反面、在日米軍は日本の自衛隊とすでにミサイル防衛網を通したリアルタイム情報共有を実施している。これに伴い、朝鮮半島に配備されるTHAADが韓米日3国間で連動するミサイル防衛網の核心資産になるのではないかと指摘されている。
これに対して国防部当局者は「ムン報道官の説明は原則レベルの話」として、火消しに努めた。この当局者は「THAADは基本的に在韓米軍のミサイル防衛網と連携されている米国の資産」とし、「韓米日間の情報共有は必要ならば行い、そうでなければ共有しない。状況に応じて判断する」と述べた。結局「情報共有は絶対しない」という話ではない。