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韓国政府が地方に交付しなかった教育費項目、4年間で1兆円

登録:2016-04-10 23:39 修正:2016-04-11 11:57
乳幼児教育課程に踏みにじられた地方教育財政

2013年乳幼児教育課程通過、予算追加され
教育改善費、公立幼稚園増設費など
予算に反映させず地方債で充当させる
昨年4千900億円、今年2千500億円規模
参与連帯「交付金大幅増額が必要」

地方教育債発行規模の推移。資料:教育部、参与連帯(単位:ウォン)//ハンギョレ新聞社

 政府の乳幼児教育課程予算圧迫のため、教育環境改善費や公立幼稚園新設費の予算項目がまともに編成されず、地方教育債の発行で充当している実情が、政府の交付金配分予算案でも確認された。 金額は最近4年間で10兆ウォン(約1兆円)を上回った。 これまで政府が乳幼児教育課程予算を地方教育財政に押し付け、絶対に必要な教育支出項目が縮小されるのではないかと指摘されてきた。

 10日、参与連帯と民主社会のための弁護士会が2013~2016年に教育部が国会に提出した「地方教育財政普通交付金交付報告」を分析した結果、「基準財政需要額」算定項目のうち教育環境改善費、教職員人件費、公立学校新設・移転・増設費、公立幼稚園新設・増設費などの項目が0ウォン、あるいは一部の金額だけ策定され、残りは地方教育債の発行で充当された。 この金額は2013年には9千752億ウォンに過ぎなかったが、2014年には1兆8千454億ウォン、2015年には5兆1千530億ウォン(約4千900億円)に増えた。 今年は2兆6千95億ウォン(約2千500億円)で昨年よりは減ったが、依然として少なくない規模だ。

 「基準財政需要額」は、教育部が普通交付金(内国税の20.27%+教育税)を全国の市道教育庁に配分する際に使う基準で、学校数、生徒数、学級数などの基礎資料に基づいて各教育庁に必要な適正予算を計上した金額だ。 政府は、基準財政需要額として各教育庁が自主的に調達できる収入額を引いた残りの金額を交付金として各教育庁に送る。

 このような状況は、普通交付金の規模には大きな変動がないが、2013年から拡大適用された乳幼児教育課程予算が相次いで基準財政需要額の「乳児教育費・保育料支援」項目に含まれて膨張した。 2012年に1兆5千880億ウォンだったこの項目の予算は、今年は3兆9千820億ウォン(約3千800億円)に膨らんだ。

 その一方で、教育環境改善費項目の場合には、昨年も今年も策定されなかった。 代わりに必要な予算全額(2015~2016年2兆6千487億ウォン=約2千500億円)を地方教育債の発行で充当させた。 教育環境改善費は20年を経過した学校のトイレなど老朽施設を改善するために使われる必須予算項目だ。 公立幼稚園新設・増設費も2014年以後毎年地方教育債の発行(2014~2016年合計9千452億ウォン=約890億円)に回され、基準財政需要額は正常に編成されていない。 普通交付金が前年度よりさらに削られた昨年には、教員の名誉退職手当て1兆1千億ウォン(約1千40億円)が基準財政需要額から脱落した。

 参与連帯の社会福祉委員会は「政府はこれまで乳幼児課程予算を市道教育庁に送ったと主張してきたが、予算不足により、法令に則り当然算定されるべき基準財政需要項目を妥当な根拠もなく減額するなど、恣意的に縮小してきた」として「現在の普通交付金水準では正常な教育財政を充当できないという事実が明らかになった」と批判した。 普通交付金は、税収全体が減り2013年の39兆6105億ウォンから2014年39兆4117億ウォン、昨年は38兆185億ウォンへ毎年減っており、今年は41兆1041億ウォン(交付金補填地方債1兆3200億ウォンを含む)で多少増えた。

 教育部の地方教育財政担当者は「必要項目は地方教育債の発行が承認され全て交付された。 景気に応じて地方債が一種の緩衝材の役割をすると理解して欲しい」と話した。 彼は「ただし乳幼児教育課程予算が新たに基準財政需要額の算定基準に入ったため、財政圧迫があるのは事実」と話した。

ファン・ボヨン、チン・ミョンソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/739080.html 韓国語原文入力:2016-04-10 20:50
訳J.S(1773字)

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