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ミュージアムを6年間で13館…ソウル市の大規模プロジェクトに期待と憂慮

登録:2016-04-06 23:19 修正:2016-04-07 07:14
ソウル市を博物館と美術館の都市に脱皮させる大規模ミュージアム・プロジェクトが本格化している。市が1300億ウォン余を投じて工芸博物館を作る予定のソウル安国洞にある豊文女子高//ハンギョレ新聞社

パク・ウォンスン市長の強い意志を反映 
西ソウル美術館、韓国工芸博物館など 
13館の青写真描き速成推進 
キム・ホンナム諮問団長「文化福祉趣旨」 
複雑な利害関係など「陣痛」予想

 今後6年以内にソウルを巨大な博物館と美術館の都市に脱皮させる?

 類例なく大規模に推進されているソウル市「ミュージアム作り」プロジェクトが、最近文化界で話題になっている。 昨年からパク・ウォンスン市長と側近の文化界の人たちの主導により、韓国工芸博物館、西ソウル美術館、白南準(ナム・ジュン・パイク)記念館など13館に及ぶ博物館と美術館を2022年までに3000億ウォン(約286億円)を投じてソウル各地に設立するプロジェクトが本格化している。

 市側は昨年6月に新設された博物館振興課を中心に13館のミュージアム・プロジェクトを確定し、新施設を運営する傘下機関を指定するなど推進作業を督促している。 これに先立ちパク市長は、2014年に2期市政を始めるにあたり、博物館や美術館の増設に対する強い意志を示したことがあるが、数百のミュージアム・アイディア構想を側近や職員に命じたという。 このようなアイディア事業を昨秋、パク市長の側近のキム・ホンナム元国立中央博物館長が諮問団長となり、昨年末までに13のプロジェクトに整理し、先月には専門担当組織である文化施設事業推進団の職制も通過させ青写真作りに入っている。 7月中に推進団を発足させ、年末までには主な美術館・博物館建設の基本枠組みを確定する計画だ。

 中でもソウル市立美術館は、今年に入り別個のプロジェクト推進チームを作り展示企画者キム・ヒジン氏を責任者として迎え入れるなど格別の精魂を込めている。

 ソウル市立美術館が掌握するプロジェクトは4つ。ソウル衿川区庁の後方にある緑地公園に建てる西ソウル美術館、平倉洞の旧ガス充填所跡にできる美術図書館をはじめとする文化複合空間、昌信洞の白南準生家の白南準記念館、倉洞複合文化地区に作る写真美術館だ。 まず7月に白南準記念館が韓国式家屋のリモデリングを終え開館し、平倉洞文化空間は設計案を国際公募する予定だ。

 博物館プロジェクトの場合、種類の数が9つでずっと多い。 最も力点を置いた事業は市が直営する工芸博物館事業だ。 古代から現代までの韓国工芸ジャンルの歴史を扱う大型展示館で、ソウル北村の豊文女子高跡に1300億ウォン余りを投じて作ることになる。 ソウル孔陵洞の旧ソウル地方法院北部支院の建物に入る市民生活史博物館と敦義門(トンイムン)の都市再生博物館、拡張新築される東大門(トンデムン)、漢陽都城(ハニャントソン)博物館はソウル歴史博物館が運営を総括する。 昌徳宮(チャンドックン)敦化門(トンファムン)路の民謡博物館と風納土城(プンナプトソン)発掘現場にできる野外博物館、城北洞の朝鮮時代生活史博物館、エデュテイメント施設を標ぼうする倉洞のロボット博物館はまだ運営主体が決まっていない。

 キム・ホンナム諮問団長は「韓国の地方自治体史上初の大型ミュージアム・プロジェクトで、他の地方自治体の政策にも大きな影響を及ぼすだろう」とし「郊外各地にも博物館や美術館を作り、市民が均等に文化福祉を享受できるようにする趣旨」と説明した。

複合文化空間ができる平倉洞車庫址(旧ガス充填所跡) //ハンギョレ新聞社

 文化芸術界の視線は期待と憂慮が入り混じっている。 市民空間の隅々にまで先進国のようにミュージアム空間を満たすという意図は分かるが、市長の任期に合わせておそらく速成で推進する上に、各芸術ジャンルの匠や作家間の利害関係が複雑に絡まり、相当な難航が避けられないと予想されるということだ。 長期的な展望、人材需給、運営などに対する細心な検討があまり見られないという指摘も出ている。 実際、工芸博物館、平倉洞の美術図書館などは、すでに推進過程を巡り関連文化団体との軋轢が起きている。 工芸博物館の場合、施設を作業室や広報窓口として活用しようとしている無形文化財の匠、韓国工芸芸術家協会の作家たちとの摩擦が生じていて、平倉洞複合文化空間もこの地域の文化空間新設を初めて挙論した文化人の集いである平倉文化フォーラム(会長イ・スンジョン元ソウル大教授)とソウル市の間に運営の分担を巡って軋轢が起きる気配だ。 祥明大造形芸術学部のイ・インボム教授は「ミュージアムを作ることは、世の中と芸術を眺めるもう一つの考えを作り出す作業」とし「時間に束縛されずに組織の性格や運営方向、人材確保などに対する開かれた議論と準備が必要だ」と話した。

ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/738530.html 韓国語原文入力:2016-04-06 18:59
訳J.S(2155字)

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