全国教職員労働組合(全教組)がセウォル号事故2周年を迎えて制作した「記憶と真実に向けた4・16教科書」(4・16教材)に対し、教育部が「生徒の健全な国家観の形成を阻害するおそれがある」として使用禁止命令を下した。
25日、教育部は、「全教組の4・16教材を前現職教師と関連省庁が検討した結果、教育資料として不適切であるという結論を下した。学校現場での使用を禁止する内容の公文書を市道教育庁に送った」と発表した。全教組は今月21日、「セウォル号事故に関する教育的な実践の第一歩は、セウォル号事件を記憶すること」とし、セウォル号をテーマにした「きっかけ教育」の参考資料である4・16教材を発刊した。きっかけ教育とは、教育課程に含まれていない社会の懸案について、生徒の正しい理解を助けるために実施する一種の自由なテーマ授業だ。
教育部は、小学用と中学用の4・16教材をそれぞれ検討した結果、否定的な国家観を助長するおそれ▽教育資料としての不適切性▽事実の歪曲の3つの項目を基準に、小学用で9カ所、中学用で8カ所の不適切な記述があったと指摘した。特に小学用の教材が、2014年9月の童詩、童話、絵画の作家65人によるセウォル号事件の追悼作品集『セウォル号の話』(ビョルスプ)に掲載された「笑顔の女王」を引用した部分について、「童話の中の女王を通じて、大統領を連想するように誘導することで、大統領と政府に対する否定的なイメージを助長する」という検討意見を示した。中学用教材が「国会前で真相究明を訴える遺族を無視する朴槿恵(パククネ)大統領」という見出しと共に写真を使用したことについても、「写真にある場面だけを取り上げることで、全体的な状況を歪曲しており、生徒たちに政府対する不信感を抱かせる意図が見られると判断」したと明らかにした。
これに対して全教組のソン・ジェヒョク報道官は、「セウォル号を追悼し、記憶しようとする趣旨は無視して、枝葉的なことだけで言いがかりをつけている」と批判した。
韓国語原文入力: 2016-03-25 19:42