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韓国政府、日本の教科書歪曲に「抗議」でなく「慨嘆」

登録:2016-03-18 23:00 修正:2016-03-19 07:28
報道官声明で低強度の対応
鈴木秀生・駐韓日本大使館総括公使が18日午後、ソウル世宗路の外交部に呼び出された。今回の措置は日本の文部科学省が歴史的事実を歪曲する高校社会科教科書検定を通過させたことに抗議するため行われた=ニュース1

12・28合意、韓米日共助を念頭に置いた模様

 韓国政府は日本の教科書歪曲にきわめて節制された反応を示した。 反対の意を直接相手方に通告する「抗議」や「糾弾」ではなく、自ら嘆くという意味が強い「慨嘆」という表現を使ったのが代表的だ。 専門家らは12・28韓日「日本軍慰安婦」合意を成果と規定し、北朝鮮の核問題に対応する韓米日制裁共助を重視すべきと考える大統領府と政府の意が強く反映された結果と解説した。

 18日、韓国政府が発表した「外交部報道官声明」は、昨年まで続けてきた日本の歴史教科書歪曲に対する「断固たる対応」とは基調が異なる。 「韓国固有の領土である独島(トクト)に対する不当な主張」という立場は同じだが、このような主張を反映した教科書検定に対して「強く慨嘆」するとして「即刻是正」を要求したのみだ。 慨嘆は自ら悔しく思い嘆くという意で、「反対を伝える」という意味は含まれない。

 反面、2013年に日本の高校教科書検定結果が出た時の「外交部報道官声明」は「強力に抗議」する意を明確にし「根本的な是正」を促した。 「歴史に目を閉ざす者は未来を見ることはできない」という強度の高い表現も登場した。 2014年の日本の小学校教科書検定結果の時にも、問い詰め叱るという意味である「強力に糾弾」という表現を使ったし、「日本が帝国主義的野心を捨てられずにいる」として、より強力に非難した。 強度が弱まったと言われる昨年の日本の中学校教科書検定結果の時にでさえ、韓国政府は「挑発」と規定した。

 韓国政府の「低強度」対応は、12・28合意以後に予想されていたことだ。 慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」合意について韓国政府は「外交的成果」と規定する基調を一貫して維持してきた。 今回の外交部報道官声明で、教科書歪曲の是正は「要求」しながらも「韓日関係の新しい一頁を開くための努力を真正性ある行動で見せること」を「要求」したのも、このような流れの延長線上にある。 何より対北朝鮮制裁外交を最優先順位として強調している韓国政府は、日本の過去の問題より韓米日共助を重視している。 実際、外交部のユン・ビョンセ長官は今月初めの国連人権理事会高位級演説で、例年とは異なり日本軍「慰安婦」問題について何の言及もしなかった。

 4・13総選挙以後、12・28合意の後続措置を実行していくための布石としての意味も、今回の韓国政府の対応から読み取れる。 日本のマスコミは最近、韓日が今月中に外務局長級協議を開き、12・28合意にともなう後続措置などを議論する予定と報道した。「日本軍慰安婦」問題を議論する韓日外務局長級協議が開かれるのは、昨年12月以来3カ月ぶりだ。 また、今月末に米国のワシントンで開かれる核安保首脳会議で韓米日3国首脳会談も開かれる可能性が高いという。 聖公会大のヤン・ギホ教授は「韓国政府が日本との対立点を際立たせないように強度の低い対応を示した」とし「12・28合意を外交的成果と規定した上に対北朝鮮制裁を強調する韓国政府と大統領府が、韓米日共助を維持するためにも日本との火種を作る必要はないと判断している」と指摘した。

キム・ジンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/735724.html 韓国語原文入力:2016-03-18 19:26
訳J.S(1474字)

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