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通信社から住民登録番号収集し私生活まで覗き見…韓国の捜査機関

登録:2016-03-11 23:52 修正:2016-03-12 07:18

国家情報院、警察、検察など捜査機関 
診療記録、病名、家族の職業など 
2次的な個人情報の取得に利用 
当局「問題ない」と深刻性を無視 

市民たち、提供の事実を続々と確認 
人権団体「深刻な懸念」を表明

SKテレコムが加入者に発行した通信資料提供の事実確認書。昨年4月24日、ソウル中央地検に顧客名、住民番号などの加入者の通信データを提供したことを示している//ハンギョレ新聞社

 国家情報院と検察、警察などの情報・捜査機関が国会議員と記者はもちろん、一般会社員などの「通信データ」を大量に入手していた事実が続々と公開され、個人情報も「流れた」という、市民の懸念混じりの“証言”が続いている。全国民主労働組合総連盟(民主労総)のイ・ヨンジュ事務総長は11日、自身のフェースブックに、過去1年の間に28回に渡って通信データが提供されたことを示す確認書を公開した。また正義党では党幹部全員が移動通信会社から通信データの提出履歴を提出してもらう過程で、チョン・ジンフ議員補佐官などの通信データが、警察や国家情報院などに提供されたという事実を確認した。

 通信データには、名前、住民登録番号、住所などの一般的な個人情報が含まれている。大法院(最高裁)は前日、いわゆる「回避ヨナ」動画をアップしたチャ氏(36)が個人情報保護の義務に違反したとして、インターネットポータル会社ネイバーに対して起こした損害賠償請求訴訟の上告審で、「捜査機関に渡される情報が個人情報に限定されるため、私益の侵害の程度が比較的大きくない」と判断したが、情報人権団体は、通信データに含まれている住民登録番号が個人の機密情報につながる「万能の鍵」になり得るとして、深刻な懸念を示している。ただし、ネイバーはこの日、社会的なコンセンサスが確立するまで、令状なしの通信データを捜査機関に提供しない方針を明らかにした。

 警察などの捜査機関では、通信データの提供を受けて把握した住民番号で、国民健康保険公団などの公共機関から追加の個人情報を調べている。警察関係者は、「基本的な情報を確認しなければ、追加調査ができないため、まず、通信データを提出してもらう」とした上で、「追加捜査が必要なものについては、他の機関に要請して追加情報の提供を受けたりする」と述べた。実際、警察は2013〜2014年の鉄道労組ストライキを主導した労組指揮部の捜査を進める際、通信会社から入手した通信データをもとに、健康保険公団などから組合員の病院診療内訳と病名、家族の職業などを追加で入手して、問題になった。当時、警察は「捜査と公訴提起と維持のために必要な場合」という個人情報保護法の例外規定に基づき、健康保険公団など公共機関からの個人情報の提供を求めるのは問題がないという立場を示した。これに対して鉄道労組などは、個人情報保護法の例外条項の規定で、明確性の原則に反するとして、憲法訴願を出した状態だ。

 国家人権委員会と憲法裁判所などの国家機関も、住民登録番号が他の個人情報につながる「コネクタ」あるいは「万能のカギ」と判断してきた。2014年人権委員会は住民登録番号制度の改善を勧告し、「基本的な情報として、他の情報へとつながる連携性が住民登録番号の最大の特徴」とした上で、住民登録番号を万能のカギと表現した。憲法裁判所も、昨年12月、住民登録番号を変更する規定がない住民登録法を違憲と判断し、住民登録番号のコネクタとしての性格を強調した。人権委員会は、特に2014年、「通信データを通信事実確認資料の対象にし、裁判所の許可状に基づいて、要請するようにする」法改正を未来創造科学部に勧告したが、未来創造科学部は「犯罪捜査に遅れが出るなど、捜査に支障をきたすという捜査機関の懸念」を理由にこれを受け入れなかった。進歩ネットワークで活動するチャン・ヨギョン氏は「通信データは『簡単な個人情報』ではない。これを基に捜査機関が機密の個人情報にアクセスできるようになる点で、統制が必要だ」と述べた。

バン・ジュンホ、キム・ジェソプ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-11 19:30

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/734549.html 訳H.J

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