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金第1書記、核攻撃力誇示し威嚇... 「核戦争防ぐ道」言及も

登録:2016-03-09 23:05 修正:2016-03-10 07:19
金正恩労働党第1書記が、核兵器研究部門の科学者や技術者たちに向け、核兵器の兵器化事業を現場指導しながら「核弾を軽量化し、弾道ロケットに合わせて標準化、規格化を実現した」と述べたと、労働新聞が9日付で報じた。同指導には人民軍大将のキム・ラクキョム戦略軍司令官とホン・ヨンチョル、キム・ヨジョン党副部長が同席した/聯合ニュース

好戦的な態度から少し流れが変わった側面も 
「非核化ではなく、核軍縮を考慮」との分析も 

韓米当局は否定的な評価 
「実戦能力を確保できていない」

 9日、金正恩(キムジョンウン)労働党第1書記が行った「核弾標準化・規格化の実現」発言は、2013年2月、3回目の核実験直後に北朝鮮が主張した内容の延長線上にある。当時、北朝鮮は「小型化・軽量化された原子爆弾を使用し、安全かつ完璧に(核実験を)進めた」と公表した。昨年5月にも、北朝鮮は「私たち(北朝鮮)の核打撃手段は、本格的な小型化、多種化段階に入って久しい」と主張しており、今年1月、4回目の核実験直後にも「小型化された水爆の威力を科学的に解明した」と発表した。核爆弾を飛翔体に載せられるほど軽く、小型化して「核打撃能力」を備えているという主張だ。金第1書記が「これが本当の核抑止力」と述べたのも、そのためだ。

 北朝鮮が核兵器の「小型化・多種化」を追求してきたのは事実だが、まだ達成できていないというのが、韓米軍当局と民間専門家の一致した分析だ。ピーター・クック米国防総省報道官は8日(現地時間)、「北朝鮮は核弾頭の小型化を示せなかった。我々はまだ、北朝鮮のミサイルの脅威を抑止し、対応できると確信している」と述べた。韓国国防部の関係者も「北朝鮮の核兵器の小型化技術がかなりのレベルに達しただろうというこれまでの評価に変わりはないが、小型化された核弾頭とKN08の実戦能力は確保できていないものと思われる」と述べた。

 金第1書記の今回の発言には国外と国内に向けたメッセージが複合的に含まれているという指摘が多い。まず、「強大な威力の核戦争抑止力に基づき、経済建設と人民生活向上のための闘争で突破口を開いていける、確固たる担保が用意された」という、金第1書記の発言に注目する必要がある。核と経済の並進路線のもとで、核開発の完成を基盤に軍民が共に経済建設に邁進しようというメッセージを送ったものと見られる。慶南大学のキム・ドンヨプ教授は「5月の第7回党大会を控え、住民を『70日戦闘』に動員して不満と民心離反を遮断し、むしろ核が経済と人民生活のために最も効率的でコストの少ない安保措置であることを強調している」と説明した。

 「核武力が戦うべき本当の“敵”は核戦争そのもの」、「核戦争の惨禍を防ぐ...道」などの金第1書記の言及も注目される。これまでの一触即発の好戦的な態度に比べ、多少流れが変わった側面がある。金第1書記は3日、「新型大口径放射砲試験射撃」現地指導でも、戦争防止のための「力の均衡」を強調した。政府当局者は、「最近、核先制打撃と核戦争の危機だけを強調してきたことから、核戦争を“敵”としながら、これまでの極めて威嚇的な態度を多少和らげた。今後の雰囲気を見守る必要があるが、(制裁以降の交渉局面を考慮した)変換点になるかもしれない」と述べた。

 6カ国協議の9・19共同声明に記載された非核化ではなく、核軍縮交渉を念頭に置いた発言という分析もある。北朝鮮は2013年3月党中央委総会で「並進路線」を採択した直後、最高人民会議で制定した「核保有法」第9条に「核軍縮のための国際的な努力を積極的に支持する」と規定している。

キム・ジンチョル、パク・ビョンス記者、ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-09 19:34

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/734131.html 訳H.J

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