「慰安婦被害者のことを考えていないようだ。(交渉内容を)全て無視する」(イ・ヨンスさん)
28日午後3時30分頃、ソウル鍾路区の政府庁舎で韓日外交長官会談が終わり、京畿道広州市退村面の「ナヌムの家」とソウル麻浦区の韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)事務室にいた被害者たちは鬱憤を爆発させた。 政府では「日本政府の責任を初めて明示した」という点に大きな意味を付与しているが、「法的責任」が明示されていないため合意案を受容できないということだ。
「被害者のことを考えていないようだ
金で解決しようとしている、受け取らない」
「韓国政府の外交は屈辱的」
挺対協をはじめとする関連団体はこの日、韓日外相会談の結果として出された合意内容を逐一批判し、「日本軍“慰安婦”問題に対する被害者の、そして国民の、このような願いを徹底的に裏切った外交的談合」と反発した。 特に平和碑(少女像)撤去というあきれた条件を付け、その真意を疑わせた日本政府の要求を結局受け入れたばかりか、韓国政府が(最終的かつ不可逆的という表現を使って)今後、日本軍慰安婦問題を口にしないと言った」として「韓国政府の外交態度はまさに屈辱的」と強く批判した。
合意案の内容のうち挺対協が最も強く反発した部分は、日本政府が「法的責任」を明確にしなかった点だ。 挺対協は昨年「第12回日本軍慰安婦問題解決のためのアジア連帯会議」の名で「日本政府に対する提言」を出し、日本政府に対して被害者中心の解決策が盛り込まれたこの提言に従うことを要求してきた。 提言は、慰安婦徴集について「誰が、どのように、加害行為をしたかを加害国が正確に認識し責任を認定」し、それを「曖昧でない明確な表現で国内的にも国際的にも表明」することを要求する内容を含んでいる。 また、日本政府が保有する資料の全面公開▽韓国内外の被害者と関係者の証言調査▽義務教育課程の教科書記述を含む学校教育などを後続措置として要求した。
だがこの日出された両国の合意案は、被害者中心の解決策の水準に達し得なかったというのが専門家たちの評価だ。 ホン・ソンピル延世大法学科教授は「軍の関与を認めたことは進展だが、国際法が認定する奴隷化、人道に反する罪など、明確な法的責任の認定がないなら、これまでの遺憾表明と大差ない」と話した。
慰安婦被害者支援のために韓国政府が設立する財団に、日本政府が10億円規模の予算を出捐することにしたことに対しても、挺対協は「その義務をこっそりと被害国の政府に押し付けて手を引く意図」と評価した。 慰安婦問題に対する責任を本当に認めるなら、日本国内で日本軍慰安婦犯罪に関する真相究明と歴史教育など、再発防止措置も合意案に盛り込まなければならないという主張だ。 イ・ヨンスさんは「先に天国に行かれた被害者たちに顔向けできない。(日本は)あくまでも補償でなく賠償をすべきだ。 金で解決しようとしても受け取らない」として涙まじりに話した。
ナヌムの家のアン・シングォン所長は「厳然として被害者が生きているのに、こういう重大な合意事項について事前の意見聴取は全くなかった」と指摘した。 この日の発表に対する説明を聞けない状態でナヌムの家にいたユ・ヒナムさんは「不十分だ」と前提にしながらも「両国政府が努力したので政府の意に従う」と話した。
今月5日に亡くなったチェ・カプスンさんをはじめ、今年9人の被害者が亡くなり、現在政府に登録されている慰安婦被害者は46人だ。