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[インタビュー]韓国市民の連帯意識が込められた「リ・ヨンヒ賞」受賞は光栄

登録:2015-11-24 22:24 修正:2015-11-25 06:56
「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田建・事務局長

 「韓国のジャーナリストであり、研究者である故リ・ヨンヒ教授を記念する賞を来月3日、ソウルでいただくことになりました。韓国の同志たちが私を呼んでくれたことが、本当にうれしいです」。今月19日、日本の心臓部である東京千代田区国会議事堂前。安倍政権が9月19日に強行で通過させた安保関連法に対する批判演説を行っていた高田健「許可すな!憲法改悪・市民連絡会」(以下、市民連絡会)事務局長(70)は照れくさそうに、しばらく口籠っていた。「本当に私がこの賞をいただいてもいいのか、ためらいました。 『戦争法』(11安保関係法)に反対する日本の市民の総決起運動について韓国市民がこのような形で連帯意識を見せてくれたものと思います。私の個人的な感情を言わせていただきますと、ノーベル平和賞を受賞したかのように、本当に嬉しいです」

1982年、中曽政権による改憲の動きに 
平和憲法9条守護運動に本格的に投身 
政党に頼らず自発的に草の根の運動を展開 

昨年発足した「総がかり行動」も主導 
「来年安倍内閣を総辞職に導くのが目標」

 今年下半期、日本社会を熱くした安保闘争が長期戦に突入してから2カ月が経った。日本の市民たちは、疲れた様子も見せず、19日に国会議事堂前に集まって安保法制反対集会を行い、29日には日比谷野外音楽堂で日本の安保闘争と沖縄辺野古基地移転闘争をつなぐ大規模な集会を予告している。

日本の市民運動家、高田建氏=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 第3回リ・ヨンヒ賞受賞者に決まった高田事務局長は、長い間目立たないところで日本の憲法運動を率いてきた市民運動家だ。そのため、岡本厚・岩波書店社長は、彼を今年のリ・ヨンヒ賞の受賞者として推薦しながら、「(高田は)知識人でもなく、ジャーナリストでもない。しかし、安倍政権が進めようとする『憲法9条』改憲を徹底的に批判し、これを阻止するための運動を組織して支えてきた、なくてはならない人物」と紹介した。

 高田事務局長は、自分が本格的に日本の平和憲法運動に飛び込んだきっかけが、「(1982年11月に就任した)中曽根康弘(97)元首相の登場だった」と語った。「(岸信介元首相が主導した日米安保協定の改正に反対して全国的に広がった)1960年安保闘争当時、私は高校1年生でした。その後もいくつかの反戦運動に参加したが、本格的に憲法9条を守る護憲運動を始めたのは(改憲を自分の主な政治目標として掲げた)中曽根首相が登場してからです」

 ただし、彼が進めた運動方式は、従来の憲法運動と方向が異なっていた。社会党(現社民党)や共産党などの特定の政党と関わりを持たず、市民の自発性に基づいた「草の根の運動」を目指したからだ。彼が「地域のいくつかの小さな草の根の憲法運動団体をまとめて連結して」作り上げた運動は、1993年の「STOP!改憲・市民ネットワーク」を経て、1999年に市民連絡会へとつながり、今日に至っている。

 高田事務局長にとっても、今回の安保闘争は少なからぬ意味があった。これまで分裂したまま運動を続けてきた社民党、共産党、無党派市民運動が、数十年ぶりに「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」(以下、総がかり行動)という単一の隊伍を成して、安倍政権と対決したからだ。高田事務局長は昨年12月に総がかり行動が結成されて以来、持続的な運動の展開に重要な役割を担ってきた。

 「これまでは集会に参加したくても、どの団体が主催する集会に行くべきなのかが分からず、参加しなかった人たちもかなりいました。しかし、今回は皆一緒に運動を行うことになって、誰もが『私たちにもできる』という希望が持てるようになりました。このような流れの中で、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)のような学生の集まりや母親たちの集まり、学者たちの集まりが結成される雰囲気が整ったと思います」

 しかし、日本の市民運動は、昨年9月に行われた安倍政権の法案強行通過を防げなかった。高田事務局長は「(連立与党である)自民党と公明党内部に(法案に反対する)分裂を引き起こせなかったこと」を最大の失敗の原因に挙げた。実際、産経新聞の世論調査によると、日本人の中で「デモに参加したい」という意向を示した人は約20%(約2000万人)だが、実際の集会に出た人は約300万人だったという。 「この1700万人が参加したなら、与党内に反乱が起き、世論も大きく変わったでしょう。今後、彼らが運動に参加できるようにするのが最も重要な課題です」

 このため、総がかり行動は「2000万人『戦争法の廃止を求める統一署名』」運動を始めた。今月8日には朝日新聞や毎日新聞などに、これと関連した全面広告を掲載した。1700万人が気軽に運動に参加できるように、広告の片隅に署名用紙も作った。法案に反対する市民は、これを切り取って署名し、郵便で送る方式などで意思を表すことができる。

 「与党は2013年参院選当時、2500万票程度を獲得しました。私たちが来年の夏の参議院選挙前に2000万人の署名を集め、野党が(選挙単一化などを成し遂げて)共に戦えるようになれば、与党を破ることも十分に可能です。そのようにして安倍内閣を総辞職に導くのが私たちの目標です」。彼は続いて「日本の戦争法や憲法改悪に対する反対運動は、アジアの民衆の連帯がなければ成立しない」とし「アジアの民衆が連帯して、この問題に共に対処してほしい」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-24 19:14

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/718882.html 訳H.J

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