登録 : 2015.11.10 08:47 修正 : 2015.11.10 15:14

日本から輸入される農水畜産物に対する放射能検査が強化されたなか、ソウル可楽洞の水産物市場で保健環境研究院職員が携帯用放射能測定機を使い、万一の汚染に備え韓国産農水産物も放射能汚染度を検査している=資料写真//ハンギョレ新聞社
 昨年、食品医薬品安全処(食薬処)が主管する「食品放射能安全管理教育」の講義に参加したことがある。全国を巡回して消費者に放射能教育をする目的で「放射能と放射線に対する正しい理解」「食品の放射能安全性評価」「国内流通食品の放射能安全管理状況」の3つの部門で3人の専門家を招いた講義だった。

 数多くの食品放射能の講義や書籍、国際的傾向を見聞きしてきた筆者にとり、耳を疑わざるを得ない内容だった。それは「放射線ホルミシス」(低線量は有用で微量の放射能は食してもかまわないとする理論)の講義に他ならなかった。同理論はすでに国際的にまやかしの理論と烙印を押された、原発賛成論者の中でもごく一部が主張する理論である。

 「原子力発電所に反対する反原発主義者は放射能の健康影響を誇張している」「専門家に任せて」「敏感に考える必要はない」「放射能が出たからといって自宅を売って引っ越せるのか」といった不愉快な発言をずっと聞かされ続けた。放射能安全活動をしてきた筆者が、原子力安全技術院、政府関連部署などで何度も聞かされてきた話と実によく似ていた。

 今年も昨年に続き、同じ講師、似た内容の教育をしていることに驚き、食薬処担当部署に抗議した。放射線ホルミシスは今回の教育では除外したと言うが、内容を少し変えたとしても、講演者の本質は変えようがない。国民の食品安全の責任を負う政府機関でありながら、講演者が何を話すのか確認さえしていない。

 昨年12月、政府は「日本の放射能安全管理民間専門家委員会」を立ち上げ、放射線ホルミシスを主張する大学教授を委員長に就かせた。食薬処に関連会議の進行状況や会議内容の公開、会議資料の有無を尋ねたが、担当者はいつも電話機の向こうで「会議資料は残っていない」と答えるだけだ。

 食薬処が発表した日本産の緑茶の放射能検出に対しても情報公開請求をしたことがある。この時も、産地の混乱が予想されるとして緑茶の原産地公開を拒否された。国民の知る権利は無視され、消費者より生産者の立場を優先視する姿勢と秘密主義、国民の健康を後まわしにする態度には言葉を失う。

 昨年、食品放射能安全管理教育の最後の講演者だった新薬処関係者は、努力しているので信じて欲しいと訴えていたが、やっていることを考えれば信頼のしようがない。子供騙しのような教育では、信頼どころか原発に肩入れするための教育と疑わざるをえない。

 前回、ヨーロッパ放射線リスク研究会(ECRR)のクリストファー・バズビー議長が月城(ウォルソン)原発の周辺住民の甲状腺癌発生に対する法廷証言をするため韓国で講演した。低線量被曝でも癌が発生する可能性があるとする国際論文が様々な所で出され、その科学的な根拠と理論には定評がある。

 ところが食薬処は未だに低線量被曝に対する確定的な根拠が不足だと説明する。人が死に、健康が失なわれた後になって低線量は危険だと言われても、事態をそれ以前に戻すことはできない。食薬処は「事前予防の原則」を最優先とし、国民の健康問題に素早く対応しなければならない。食品医薬品安全処という名に恥じないように。

ソウル放射能安全給食連帯チョン・ソンギョン代表(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-09 19:00

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/716600.html訳Y.B

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