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ベトナムでも検定教科書採用…「朴槿恵教科書」だけ逆戻り

登録:2015-10-20 23:15 修正:2015-10-21 06:39
「教科書検定制など教育改編を承認」 
共産党機関紙の電子版で確認 
「先進教育の傾向に完全に一致」の評価 
「韓国の制度から学ぼう」数年前、使節団が訪韓
市民団体メンバーが19日午前、ソウル中区の韓国言論会館国際会議場で開かれた「国定教科書事態に直面する市民社会時局宣言」で「国定教科書」と書かれた鉢巻きで目隠しをしている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 社会主義国であるベトナムが歴史科目を含めた全体の教科書を「検定」に切り替えたことが確認された。これまでベトナムは、北朝鮮とバングラデシュなどと共に国定制を全面的に採用した国に分類されてきた。事実上共産党一党体制のベトナムさえ国定教科書を廃棄する状況で、朴槿恵(パク・クネ)政権の国定教科書への転換は、世界的な流れに逆らう試みという批判が強まるものと思われる。

 ハンギョレが20日、ベトナム共産党機関紙の電子版『ベトナム共産党電子新聞』の記事を確認した結果、ベトナム政府は今年4月20日、「一つの教育課程と様々な教科書」を中核とする全面的な教育課程・教科書改編案を批准したことが明らかになった。

 ベトナム共産党電子新聞は同日付の記事で「政府が批准した教科書再編案により、これ以上唯一の独占的な教科書システムが存在できなくなった」とし「再編案に基づいて、2018〜2019年度には、1つの標準教育課程の枠組みの中で、多くの出版社によって様々な教科書が発行され、各学校で教えられるようになる」と伝えた。記事は、ファム・ミンハク元ベトナム教育開発部長官の言葉を引用して、「これは、先進的な教育の傾向と完全に一致すること」と評価した。また、「学生を中心とする新たな教科書と教育プログラムに重点を置いた再編案は、学生に積極性と主導性、創造性を発揮させ、自己主導型の学習を可能にするだろう」と期待を示した。

ベトナム共産党電子新聞サイトの「教科書改編」関連の記事=チョン・ジョンユン記者//ハンギョレ新聞社

 さらに記事では「授業に使用するのに十分な条件を備えている教科書を採択するためには、教育開発部が主導する国家レベルの審議検定委員会が必要だ」と指摘された。記事はベトナム語で作成されており、ハンギョレは、複数のベトナム専門家に依頼して記事の内容を翻訳して確認した。

 ベトナムはこれまで教育部傘下の教育課程研究所と、国が経営する教育出版社が、教育部の指揮と監督のもと、教科書の執筆・発行・配布を担当してきた。しかし、経済部門の改革開放以降、国による教科書独占の弊害を認め、国外機関と協力して教育改革案を準備してきた。国連人権理事会は、今年3月、ベトナム政府に「国定教科書の廃止」を勧告する報告書を採択した。

 特にベトナムは、これまで韓国を「お手本」にして教育課程と教科書発行システムの修正作業を進めてきたことが分かった。パン・ジウォン新羅大学歴史教育科教授は「ベトナムは検定制への転換を模索する過程で、数年前、使節団を送って韓国の教育改革の成果と教育制度を視察した」と説明した。パン教授は「ベトナムは共産党の統制が強いにもかかわらず、子供たちの競争力と創造性のために教科書を多様化する必要があるという社会的なコンセンサスが作られた」とし、「創意・融合人材を育てたいという朴槿恵政権が国定教科書に回帰することは、世界的な傾向にあまりにも逆行する決定だ」と述べた。

チョン・ジョンユン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-20 17:47

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/713646.html 訳H.J

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