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大規模海外派兵が可能になった日本…軍事負担減らしたい米国と利害一致

登録:2015-09-19 06:37 修正:2015-09-19 07:53
安倍晋三首相が18日、衆議院で野党が安保法案通過を遅延させるためこの日提出した首相不信任案が否決され礼をしている=東京/AFP聯合ニュース

自衛隊法など10法を改正し
「国際平和支援法」を新たに制定
自国攻撃を受けずとも武力行使
米軍後方支援など名目をつけ
紛争地域への自衛隊派兵可視化

 安倍晋三首相が政治的命運をかけて18日参議院本会議で可決させた安保法制の制・改定案は、自衛隊法など10の法律の改定案と、新たに制定される国際平和支援法で構成されている。

 安倍首相が掲げる法律の制・改定の理由は、変化したアジア太平洋地域の安全保障環境の中で、「いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくためには、現行憲法の下で何をなすべきかという議論が必要だ」(昨年7月、集団的自衛権の閣議決定直後)ということだ。「日本が積極的平和主義を通じて、国際平和に貢献する」という主張がその後に続く。この主張には日本の軍事的能力と役割を強化しようとする安倍首相の野心が表れている。

 今回の法案通過の強行で、日本は自国が直接攻撃されなくても密接な他国が攻撃され、日本の存立が危うくなる際(存立危機事態)に、武力を行使できるようになった。いわゆる集団的自衛権の行使だ。しかし、現行の日本国憲法は、「国際紛争の解決手段としての武力の使用」を禁じているため、韓国軍が1960〜70年代にベトナム戦争に参戦したように、大規模な自衛隊の戦闘部隊を国外に派兵することは不可能だ。そのため、安倍首相は、自衛隊が集団的自衛権を行使できる具体的な事例として「ホルムズ海峡の機雷の除去」や「日本人が乗った米国艦船の防御」などを提示するのにとどまった。しかし、イランの核交渉妥結など国際情勢の変化で、この2つの事例は、日本の国会内審議でも正当性を失ってしまった。小泉内閣で安全保障政策を総括した柳澤協二・元官房副長官や第1野党である民主党では「日本の安全保障のためのものなら、集団的自衛権ではなく、個別的自衛権を整備しなければならない」と主張している。日本の安全保障のためなら、集団的自衛権は事実上必要ないということだ。

 そのため、日本の軍事専門家たちは、今回の法案の核心は、集団的自衛権の行使ではなく、「自衛隊の後方支援と平和支援活動(PKO)の制限の緩和」だと分析する。法案に盛り込まれた重要影響事態法や国際平和支援法などに基づき、自衛隊は米軍や多国籍軍を後方支援するという名目で、世界のほぼすべての武力紛争に広く関与できるようになった。この2つの法律により、日本政府は「非戦闘地域」という概念を大きく拡大して自衛隊の作戦範囲を「実際戦闘が行われている地域」の目前まで拡張し、これまで禁止していた弾薬の補給、発進準備中の戦闘機の給油も可能にした。今回の法案通過で、米国が中東などへの大規模な物流部隊を派遣するように要請すれば、自衛隊が派遣される可能性が高まった。日本の市民たちが「日本が米国の戦争に巻き込まれて、犠牲者を出るかもしれない」と懸念している理由がそこにある。

 今回の法案は“米国との対等な同盟”を実現しようとする安倍首相の意図と、自衛隊を活用して軍事的負担を軽減しようとする米国の意図が複雑に絡まった結果だ。今回の法案が日本と米国の同床異夢が重なったものと分析されているのも、そのためだ。安倍首相は首相就任直後の2013年2月、米国の対日政策に大きな影響を与える「ジャパン・ハンドラー」が集まった米国の戦略国際問題研究所(CSIS)で演説し、「日本は戻ってきた」と宣言し、米国政府はこれに応えるように、2013年10月、日米安全保障協議委員会(2 +2会議)で日本の集団的自衛権の行使を公開的に支持した。安倍首相は今年4月末、米国議会演説で、「法案をこの夏まで通過させる」とまで約束した。その結果、日本人たちは自国の安全保障とあまり関係がない海外の戦争に動員され、死亡する危険性が大きくなり、韓国人などは、東アジアの軍備競争激化などで、以前よりも不安定な安全保障環境の下に置かれるようになった。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-19 02:54

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/709574.html 訳H.J

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