登録 : 2015.09.18 23:39 修正 : 2015.09.19 05:10

2003年3月、ペルシャ湾で訓練中のバンドウイルカの「K-dog」が自分の位置を海軍要員に伝える波動発信装置(pinger)をつけて泳いでいる。K-dogはイラク戦争で機雷除去の任務を受けて投入された=米国海軍提供//ハンギョレ新聞社

 チャン・ハナ議員が入手した
 2011年の米海軍のバンドウイルカ搬入の申請書
 囲いに入れて2キロ離れた浦項沖に4頭投入

 くつわを噛ませて機雷の探知、艦艇の護衛任務
 非人道的との理由で米国でも廃止の声
 韓国在来種と遺伝的特性が異なるのに
 搬入を許可したものの作戦取り消しに

 米国海軍が2011年に東海(日本海)でイルカを軍事作戦に投入しようとした事実が初めて確認された。機雷の除去、艦艇の護衛などの任務を遂行する、いわゆる「イルカ兵器」は非人道的な訓練方法と作戦遂行過程における危険性のため、世界的にも問題になっている。

 18日、国会環境労働委員会所属のチャン・ハナ議員(新政治民主連合)は、2011年2月、米海軍が環境省に提出したバンドウイルカ4頭の搬入申請書を入手して公開した。米海軍所属の宇宙海上戦争システムセンター(SPAWAR)が提出したこの文書によると、イルカたちは浦項(ポハン)青林(チョンリム)洞の新港海軍基地の囲いに収容され、作戦が施行されたら、約2キロメートル離れた都丘(トグ)海水浴場沖に投入されることになっていた。

 国際的に絶滅危惧種のバンドウイルカは、国家間の取引の際には「絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約」(CITES)により、該当国政府の搬入許可を受けなければならない。韓国環境部は、イルカが訓練中に脱出する危険性など、外来種の流入の可能性を検討せず、米海軍の軍事的利用が学術研究目的などに当たるとして、許可したことが分かった。しかし、イルカ軍事作戦は米海軍側の都合で取り消しになり、結局バンドウイルカは搬入されなかった。しかし、2011年以前にも、米海軍が朝鮮半島でイルカを利用した軍事作戦を実施した情況があるにもかかわらず、環境部はこれを把握していなかったものと見られており、波紋が広がる見込みだ。

■5つのイルカ・アシカ部隊

 軍事用イルカの噂は以前にも流れていたが、1990年代に機密が解除されたことで、本格的に知られるようになった。米国カリフォルニア州サンディエゴにある宇宙海上戦争システムセンターで80頭の「イルカ兵器」と10頭の「アシカ兵器」が飼育されていることが分かった。米海軍のホームページによると、機雷を探知するイルカ部隊であるMK4、MK7、MK8と海軍艦艇を護衛するイルカ・アシカ混成部隊のMK6、武器や機体の残骸を回収するアシカ部隊のMK5など、5部隊で運営されている。冷戦時代、米国と旧ソ連は競争的にイルカ部隊を運営した。ロシアは昨年クリミア半島を併合してから、この地域にあったイルカ部隊を復活させており、米国では宇宙海上戦争システムセンターが唯一である。

 イルカ兵士の主な任務は、機雷の除去だ。作戦地域海を捜索して機雷を発見した場合、衛星信号発信装置である「トランスポンダー」やブイを設置して帰る。海軍は機雷の位置を確認してから撤収作業に入る。しかし、機雷探知中に爆発の危険性があるとして、動物保護団体は軍事作戦への動員に反対している。

 最も大きな問題とされているのは、イルカ飼育方式の非人道的な側面だ。イルカは作戦中、海に投入されるたびに、長いくちばし(口)に摂食防止装置(AFD)を付けさせられる。この装置は、くつわのように、イルカのくちばしに装着され、口を開けて魚を食べられないようにする。脱出したところで餓死するしかないということに気付いたイルカは、任務を終えて仕方なく囲いに戻って兵士が与える魚を食べなければならない。摂食防止装置を「脱出防止装置」と非難する動物保護団体に対し、米海軍は、この装置が柔らかいゴム材質でできており、数時間が経過すると解除されると反論してきた。

 米海軍のイルカ兵士は1970〜71年のベトナム戦争の際に、弾薬庫が設置されたカムラン湾埠頭に5頭が投入され、水中から浸透する敵の潜水要員を監視する任務を遂行した。1986〜88年にはバーレーンの港に停泊した米海軍艦艇を護衛した。監視業務に投入されるイルカは敵の潜水要員を発見すると、(頭で)突くことで、くちばしに付けられた装置を通じて位置を知らせてから、味方のボートに戻ってボートに設置されたセンサーを押すように訓練されている。 2003年、米国のイラク侵攻の際には、米軍の艦隊が結集する湾岸海域で事前に機雷を探知する任務を任された。

 イルカが海軍で歓迎される理由は、優れた海底地形探知能力を持っているからだ。イルカは音波を発してから、前方の物体から跳ね返る搬送波で海底の地形を認識する。このように“耳で見る”イルカの生体学的原理を利用して潜水艦とソナー(音波探知機)の技術が発達した。人間が作ったソナーは岩石と金属性機雷の材質を区別できないが、イルカは遠い距離からでも簡単に見分けることができる。

 2011年、韓国への搬入が進められたイルカも米海軍宇宙海上戦争システムセンターの所属だ。米海軍は、同年2月7日、漢江(ハンガン)流域環境庁に出した申請書に、バンドウイルカ4頭を軍事作戦に投入すると記した。正確な地域は明かさず、3頭は野生で捕獲されたもので、1頭は水族館で生まれたと米海軍は付け加えた。イルカたちは、米空軍のC17に乗せられ浦項空港に着き、トラックで韓国軍海軍基地内の浦項新港の防波堤に移される予定だった。4カ所の囲いに収容されてから、作戦地域である都丘海水浴場沖に投入される計画だった。イルカは訓練用に支給される餌だけ食べるため、作戦中に海の魚を食べることもなく、排出物もわずかで浦項沖の生態系に影響はないと、米海軍は発表した。イルカの具体的任務については明らかにしなかった。この作戦は、2月23日から3月11日までの韓米共同で行われるキーリゾルブ・イーグル訓練の一部だった。2010年、天安艦沈没事故が起きてから、初めて開かれる年次韓米合同軍事演習だった。米海軍は作戦が終わる3月初め、イルカを米国に回収すると発表した。

■過去にも朝鮮半島で作戦を遂行したのか?

 環境部は、いかなる理由で軍事用イルカの搬入を許可しただろうか? 16日、漢江流域環境庁の関係者は、「国立生物資源管の検討意見に従って、2011年、搬入を許可したが、米軍の事情で最終的な搬入は行われなかったと聞いている」と述べた。しかし、環境部の軍事用イルカの搬入許可は、様々な問題を孕んでいる。

 まず、外来種の流入によって生態系に混乱を起きる可能性がある点だ。米海軍は、マスコミとのインタビューで、これまでイルカが作戦中に10回近く脱出したが回収されたことがあると明らかにしてきた。大西洋に処植する種がほとんどである米海軍のバンドウイルカは、韓国の東海で発見されているバンドウイルカと同じ種だが、形態学的かつ遺伝的な特性が異なっており、最近の学界では両方の種を区別すべきだという意見もある。それでも環境部は、軍事作戦中のイルカの脱出の可能性などについて、検討していないことが分かった。国立生物資源管は、当時漢江環境庁に送った検討書で、特別な意見を述べることもなく「国内の自然生態系に及ぼす影響はほとんどないものと考えられる」とし、米海軍の意見をそのまま受け入れた。

 第二に、許可の理由が曖昧である点だ。軍用イルカの搬入を許可した理由を尋ねるチャン・ハナ議員の質疑に対して、環境部は先月提出した答弁書で「軍事的利用のため搬入が、絶滅危惧種の国際取引条約が認めた取引目的のうち学術研究目的などに該当すると認められる」と明らかにした。チャン・ハナ議員は18日、「学術研究目的の搬入を軍事用にまで拡大解釈している。抑留と虐待で死亡する危険を伴う軍事的な利用について、搬入を許可したのは、環境部がしっかりとした役割を果たせなかったからだ」と批判した。

 マスコミの報道などによると、過去にも軍事用のイルカは朝鮮半島で作戦を遂行した。2010年、イルカ20頭が米国ワシントン州のバンゴーの原子力潜水艦基地を監視したことで、問題になったことがあった。暖かい海に住んでいた軍事用のイルカたちが、冷たいワシントン州沖に適応できないという批判の声が上がったことに対して、同年9月の米紙シアトルタイムズは「冷たい海でもイルカの代謝能力は落ちない」という米海軍担当者の言葉を引用し、アラスカと韓国の冬の海にもイルカを連れて行ったことがあったと報じた。2013年9月、米国政府が発行する軍事専門紙のスターズ・アンド・ストライプスも、韓国やニューカレドニア、ノルウェーなどにイルカが投入されたと明らかにしており、米海軍のホームページも韓国を軍事用のイルカの作戦地域として表示している。

 これについて、在韓米海軍は18日、ハンギョレに送った回答で「朝鮮半島海域に送られたり使用された軍訓練用のイルカに関する記録はない。現在も配備されていないし、今後投入される予定もない」と述べた。在韓米軍の公報担当関係者は、「2011年、記者たちにも公開しようとしたが、米海軍の事情で(作戦が)取り消されたと聞いている。それ以外にはイルカに関連した記憶がない」と述べた。関税庁がチャン・ハナ議員に提出した資料でも、2006〜15年に米国から来たイルカの通関記録はない状態だ。

 韓米駐屯軍地位協定(SOFA)は、在韓米軍が持ち込む軍事貨物について税関検査を免除している。今年5月、米陸軍生化学実験基地から誤って活性化された炭疽菌が烏山(オサン)空軍基地に配送された際にも、その炭疽菌は税関検査を受けなかった。韓国は1993年に絶滅危惧種の国際取引条約に加入し、2005年から野生動物保護法を施行して、絶滅危惧種の搬入の際には、環境部の許可を受けるようにした。その以前は何の申告や許可手続きなしに米空軍飛行場を通じてイルカを搬入しても把握できなかった。

 米国では“イルカ兵士”をめぐる議論が後を絶たない。米海軍は、訓練中のイルカに体罰を与えたり、攻撃用に使ったことがないと主張している、殺到する非難世論のため、水中ロボットに代替する方針だ。米海軍は2012年、英国のBBC放送にイルカの兵士を2017年頃退役させると明らかにした。もちろんそれが実現されるかどうかは未知数だ。しかし、環境部は前後の事情と問題をめぐる議論も把握できず、何の疑いもなく(イルカの搬入を)許可した。

ナム・ジョンヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-18 15:32

http://www.hani.co.kr/arti/society/environment/709502.html 訳H.J

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