在韓米軍烏山(オサン)空軍基地に生きている炭疽菌が届けられた事故をきっかけに、米軍が韓国政府に通知することなく危険物質を持ち込めるとした韓米駐屯軍地位協定(SOFA)の改正を求める声が高まっている。韓国政府が在韓米軍から危険物の搬入について事前通知を受けて、これを管理監督しなければ、在韓米軍が韓国内で細菌戦兵器の開発などの無分別な危険物質の開発に乗り出す可能性を完全に遮断できないということだ。
イ・ジャンヒ韓国外国語大学法学部教授(平和統一市民連帯共同代表)は29日、ハンギョレとの通話で「世界3大米軍の駐屯地である韓国、日本、ドイツのうち、米軍兵力の規模・武器体系の変化、危険な武器の持ち込みがある際に、事前に通知し協議していない国は、韓国しかない」と指摘し、「韓国人の安全と直結する問題であるため、韓国政府が米軍の炭疽菌を管理監督するのは当然である。これに関連した韓米駐屯軍地位協定の内容を改正しなければならない」と述べた。現在の韓米駐屯軍地位協定9条(通関と関税)は「米国の軍隊に託送された軍事貨物」については韓国政府が税関検査をしないと明示している。
米国が海外駐留米軍基地ではあるが、他国に生物化学兵器として使用できる危険物を送ったことが国際法に違反しているのではないかを検討する必要があるという指摘も出ている。チョン・ウクシク平和ネットワーク代表は「米国が生物化学兵器として使用されている炭疽菌を他の国に移動させること自体が生物兵器禁止条約(BWC)に抵触する恐れがある」と述べた。これと関連し韓国国防部の関係者は、「北朝鮮軍が保有していると推定される炭疽菌への対応力を向上させるために、米軍では、炭疽菌を確認して対応手続きを熟知するための訓練が行われている」と述べた。
炭疽菌は人体に侵入すると、毒素を生成し、免疫細胞を損傷させて死に至らしめる危険な物質で、致死率が95%に達する。現行の国内感染症の予防法上、炭疽菌などの高リスクの病原体は、韓国疾病管理本部に報告する必要があるが、米軍は非活性化の状態を理由に、炭疽菌の標本を持ち込んだにもかかわらず、事前通知をしなかったというのが、疾病管理本部側の説明である。
1997年には湾岸戦争以降、放射能汚染などの問題で論議を呼んだ米軍の劣化ウラン弾が、在韓米軍にも配置されていた事実が遅れて明らかになった。当時も在韓米軍側は、はじめは「ウラン弾を保有したことがない」としたが、後になって「保有しているが、これまで使用したことはない」と明らかにした。
韓国語原文入力:2015-05-29 19:50